更新日:2021.07.22日本のハイビスカス
日本のハイビスカス
ハイビスカスというと多くの人が、南国に咲く熱帯の花、赤や黄色いいわゆるハイビスカスを思い浮かべることと思います。私たちが一般的にハイビスカスとよんでいる種類は、アオイ科ヒビスクス属の中のリリビスクス節というグループに含まれ、沖縄でよく見られるブッソウゲ、ハワイやフィジーなど太平洋の島々、モーリシャスなどインド洋の島々に自生する野生種やそれらをもとに作り出された園芸品種が該当します。でも、冬がある日本にもハイビスカスが自生しています。「ハマボウ」です。学名は、ずばり「ヒビスクス・ハマボー Hibiscus hamabo」 。神奈川県は分布の北限にあたり、南は奄美大島までの海岸域に自生が見られます。野草園の株は江の島に生えたていた苗木を江の島植物園(当時)から譲り受け、今からさかのぼること約38年前の昭和58年10月に植え付けた由緒ある木です。木に歴史あり!これからも大切にしたいですね。
今花盛り。といってもしばらくは咲いてくれると思います。ところで、なんか美味しそう!この花を見ると茶巾寿司を想像してしまうのは、自分だけでしょうか?
国産ハイビスカスはその他にも、オオハマボウ、フヨウ、サキシマフヨウなどがあり、暖かい地域に自生します。
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庭によく植えられる「ムクゲ Hibiscus syriacus」もハイビスカスのひとつです。こちらは中国原産ですが、日本原産なのでは?と思ってしまうくらいよく見かける、夏を代表する花木です。花木園にて。↓
写真の花は、白弁で底が紅色をしていますが、こういった花色の一重のムクゲを宗旦(そうたん)ムクゲといいます。千 利休の孫、茶人・千 宗旦が好んだことからそう呼ばれます。宗旦として、苗が売られているのを見かけますが、この名前は、茶花としての呼び名で、宗旦という品種があるわけではありません。たとえば「日の丸」というやや大きい白弁底紅花の品種も、そういうわけで、宗旦ムクゲのひとつということになります。同じように、紅の一重花を咲かせるムクゲを、ムクゲを好んだ京都の豪商・角倉了以にちなみ角倉(すみのくら)ムクゲと呼びます。
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野草園では、8月の花と思っていた「キツネノカミソリ」がもう咲いていました。↓ 渋い色ですね。
カワラナデシコも見頃です。こちらは種子から育てました。↓ 花弁の切れ込みが繊細でいいですね!
カワラナデシコは、秋の七草のひとつですが、意外と早く花が終わってしまい、他の七草と一緒に見られることがあまりありません。