更新日:2023.11.10カンガルーブログ お待たせしました、3頭目イジュです
カンガルーブログ お待たせしました、3頭目イジュです
今季誕生したカンガルーのちびっこ3頭目です!顔を出し始めてから随分経ちましたが、ようやっと安心して見られるようになったので、愛称のご報告です。母イチゴパンの『イ』をもらって『イジュ』です!
↑10月下旬のイジュ
実は、金沢のカンガルーたちの公式誕生日である着地(初めて育児嚢から外に出た日)自体は、10月に済ませていました。ただし、イジュの場合は通常の着地とはちょっと違い、そのせいもあり、愛称発表を伸ばしておりました...。
イジュはこれまでの個体に比べやや小さい印象でしたが、母イチゴパンが日々甲斐甲斐しく子の世話をしており、のんびり成長するのがこの個体のペースなんだろうと、見守っていました。10月頭のある日、朝獣舎に到着しカンガルーたちの様子を見て回ると、展示群の寝室の床にイジュが横たわっているのを発見。日齢的には自力で立つことも可能な時期ではありますが(同日齢の時期のコムギの場合は、しっかり立っていました)、この頃のイジュはまだ自力で立つことが出来ませんでした。
↑10月中旬のイジュ
育児嚢の外に居た理由は分からないので推測ですが、日齢的に外の世界に興味を持ち始める時期なので、気持ちの成長に合わせてうっかり出てみたものの、体の成長が追いついておらず立てなかったせいで育児嚢に帰ることが出来なかったと思われます(カンガルーのこどもは生まれてから約8か月間ずっと育児嚢の中で育てられているので、外に出たその日からすぐ上手に跳ね回れるわけではなく、練習をかさね体力・筋力が付くことで、はじめて力強く跳躍することが出来るようになります)。
10月ということでまだが気温がそこまで低くなく、他の個体に踏まれることもなく、育児嚢から出てしまってから比較的早い時に発見できたことは、今回は本当に奇跡でした。すでに体は冷え切っていましたが、まだ目に力はあり、鳴いて母イチゴパンを呼び、イチゴパンも子のすぐ近くを離れずにいてくれました(カンガルーたちの手は物を掴むことに適していないので、母親は子を拾い上げることが出来ません)。
すぐに病院に運び、体を温め怪我をしていた場所を処置し、午前中のうちに母イチゴパンの育児嚢に戻すことが出来ました。
↑お湯につけて温めているところ。直接水につけると乾かす工程などが増え負担が増えるので、ビニール袋に入れて間接的に温めます。
↑ある程度温まった後、湯たんぽで温めながら体の状態を確認しているところ。
幸いなことに、小さな擦過傷と表面だけの脱毛で済み、育児嚢へ戻した後はすぐに授乳が確認できたため、あとは母と子を信じるのみ。母親がしっかり育ててくれるのであれば、私たち担当者に出来ることといえば、再度うっかり落ちても体が冷えないよう敷き藁を増やし、少しでも早く落下後の対応が出来るように毎朝出勤後に速攻で親子のもとに安否確認をしに行く程度。
半月程気が気でない時期を過ごし、10月末になんとかスムーズに育児嚢を出入り出来るまでに成長しました。
とはいえ、まだまだ平均的な成長曲線にくらべると約1ヶ月分小さめ...それでもしっかり体重は増えてきているので、やっぱり担当者に出来ることは変わらず見守るのみ。
本カンガルーは元気に飛び跳ねてはいますが、心許ない跳躍にはらはらする日々はまだ続きそうです。
↑母イチゴパンの腕の下をくぐろうとする子イジュ
育児嚢から落下してしまった際に出来た右脇の脱毛部にも、少しずつ毛が生えてきました。
最近は外の世界が楽しくてしょうがないのか、母イチゴパンが育児嚢へ戻るよう促しても無視して走り回っていることも。まだまだ心配は尽きませんが、この先も、イジュのペースで元気に成長してくれることを願っています。
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そんなわけで、4年ぶりの繁殖個体3頭がやっと出そろいました!3頭の母たちが大事にだいじに育てたこどもたちの成長を、今後とも『静かにそーっと!』見守っていただけますと幸いです。
(しばた)