更新日:2021.08.24問題発生! ~ナラ枯れ~
問題発生! ~ナラ枯れ~
ようやく朝夕は涼しい風が吹くようになりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。今回は金沢自然公園内で発生している異変についてご紹介します。
離れたところから写真を撮った金沢自然公園の山になります。所々木が枯れて茶色や灰色になっているのが分かりますか?
これは「ナラ枯れ」と言いまして、ナラ菌に感染したブナ科の木が枯れてしまった状態です。このあたりでブナ科の木というとコナラ、クヌギ、スダジイ、マテバシイなどになります。
ブナ科の木にカシノナガキクイムシという虫がトンネルを掘り、中で繁殖をする際にナラ菌を木に感染させてしまうんです。ナラ枯れは神奈川県内では2017年に公式的に発見されたのですが、元々西日本に多かったのが少しずつ北上しているそうです。カシノナガキクイムシは太い木を好んで繁殖場所に選ぶそうですが、昔は薪や木炭にするために頻繁に木が切られて更新されて細かったため、そんなに目立つ病気ではなかったようです。
日本人が昔から利用していた雑木林の木が被害にあっているわけですが、人の生活スタイルの変化で自然環境に影響が出てくるという一つの例ですね。
さて動物園内に、そのキクイムシのトンネルの穴からたくさん樹液が噴出しているクヌギの木がありました。
そこは樹液を吸う昆虫たちのレストラン状態でした。カナブンやチョウの仲間・・・
たくさんのスズメバチの仲間も集まっており、樹液を吸っていました。危なくて近寄れません。
木にとっては生きるか死ぬかの瀬戸際のナラ枯れですが、樹液を吸う昆虫にとってはたまらないごちそうがあっちこっちにあるという状況のようです。これで栄養状態の良くなった昆虫たちの繁殖が進み、来年は樹液を吸う昆虫がとても増えるのでしょうか?
ただ、ナラ枯れで枯死してしまった木も多く、林の木の種類が減ってしまう・立ち枯れた木が台風などで倒れてしまうなど、被害も心配です。
傷病・教育普及担当 桐生