更新日:2024.11.13お疲れ様、ウラン
お疲れ様、ウラン
スーチョワンバーラルのウランが死亡しました。
22歳という高齢で、金沢動物園では歴代最高齢でした。
ウランが産まれたときの日誌を見てみると、10日齢で「敷きワラを口にしていた」と記録があり、どうやら好奇心旺盛な子ども時代だったようです。
若い頃はメス群れのトップだった時期もあったとか。
私がバーラル担当になったときにはもうすでにおばあちゃんで、バックヤードでのんびり生活していました。
今年の2月に蹄の感染を起こし治療を行っていましたが、無事3か月ほどで完治し、その回復ぶりには獣医も驚くほどでした。
日向ぼっこが大好きだったウラン。
掃除が終わり「どうぞ~」とサブ運動場への扉を開けると、晴れの日は足早に外に出て気持ちよさそうに日光を浴びていました。
対して雨や曇りの日は残念そうにとぼ...とぼ...と外に出ていました。
高齢になり前歯が抜けてしまっていたウラン。
ふとしたときに舌が出ているときもありました。
なぜか寝室の扉の格子に鼻先をつっこんだり噛んだりするのが好きだったウラン。
ウランが口にしないよう、特に念入りにホコリやクモの巣を取り払っていました。
ちょっぴり気の強い一面もあったウラン。
担当になったばかりのころ餌の準備に手間取っていると、早くしろと言わんばかりに私のお尻を軽く小突いてきたこともありました。
誰よりも食欲旺盛で食いしん坊だったウラン。
朝獣舎に入ると餌をくれとメェーと鳴き、夕方が近づくとまたお腹がすいたとメェーと訴えていました。
死亡する前日まで普段通り日向ぼっこをし、普段通り鳴いて餌を催促し、普段通りモリモリ餌を食べていたウランでしたが、10月31日の朝に獣舎へ行くとすでに冷たくなっていました。
バーラルの平均寿命は15年ほど。
対してウランはそれをはるかに上回る22歳。
大往生でした。
いつも聞こえていたウランの鳴き声が聞けなくなってしまったのはとても寂しいですが、高齢個体の飼育方法やQOL、なにより生きる力などたくさんのことを教えてくれたウランには感謝してもしきれません。
ありがとうウラン。ゆっくり休んでね。
飼育展示係 いかり