更新日:2020.07.21メリーの知恵
更新日:2020.07.21
メリーの知恵
動物園では動物にエサを与える際にわざと食べづらくすることがあります。それは野生の状態に比べて飼育下では採食に費やす時間が短く、暇な時間ができてしまうためです。
食べづらくする方法はいろいろあり、動物種によっても使える方法や使えない方法があります。
今回、二ホンツキノワグマのメリーには、穴を開けた竹筒にクマ用の固形飼料を入れて与えました。
最初はどうしたものかとのぞき込んでいたメリーですが、竹筒をコロコロとすると固形飼料が出てくることにすぐに気がついたようです。
苦労してゲットした固形飼料はいつもよりおいしいのか、竹筒を平らなところに持っていっては、両前足でとても熱心にコロコロしていました。
しかしいつの頃からか展示場の流れに竹筒が水没しているようになりました。ぬれると乾かさなければならないため何日か使えなくなり困ってしまいます。
なぜぬらす?と不審に思い、そおっと様子をうかがっていると、メリーは一目散に流れにくわえていきました。
そしてボチャン、するとあら不思議! 水流に押し出されて次から次へと固形飼料が流れ出てきます。メリーはそばで待ち構えているだけで、出てきた固形飼料をパクパク食べることができます。
余裕で流れのふちに腰掛けたりしています。
偶然の産物なのか知恵をしぼったのかはわかりませんが、楽をして固形飼料をゲットする方法を体得したようです。
こうなるとまた別の給餌方法を考えなければなりません。動物たちと飼育員の知恵くらべは続いていくのです。
( 飼育展示係 栗原 幹尚 )