更新日:2022.02.08ミンミンにいっぱいのありがとう☆*+。
ミンミンにいっぱいのありがとう☆*+。
2月2日にモウコノロバのミンミンが死亡しました。28歳8か月でした。
ここ数年、体重が少しずつ減少したり、歩くときに時々つまづいたり、老齢になってきた様子が見られていましたが、体調を崩すことなく毎日元気に過ごしていました。
死亡する前日も特に異常はなく、いつもどおりの日常を送っていました。
2月2日の朝、担当者が獣舎に行くと起立不能の状態でした。その状態でも「ミンミン!」と声をかけると耳だけこちらを向けていました。
また、ミンミンが少しでも楽になるように頭の下に乾草を敷くために、普段は入らない寝室のなかに担当者が入ると落ち着き、首元を撫でると安心したような顔をしていました。
その後も苦しんでいる様子は見られないまま、午後3時半に死亡を確認しました。
解剖の結果も老齢個体のため、歯の摩耗などはありましたが、他はほぼ良好な状態でした。
エサもミンミンの大好きな根菜類やペレットはなくなっており、最近のお気に入りのカシの葉も食べた形跡があり、便状も非常に良好でした。最後の最後まで元気だった証拠です。
(28歳の誕生日には担当者が餌をデコレーションしてお祝いしました)
(根菜類、ふすま、ペレット、カシの葉は大好物でした。)
解剖時、ミンミンを担当したことのある飼育員が解剖を手伝ってくださいました。また、獣医師もミンミンが野毛山で飼育されていた時からミンミンを知っています。担当ではない飼育員も含め全員にミンミンの思い出があり、ミンミンについて色々な話をしました。
そして、みんなが「最後は苦しまずに逝ってよかったね。最後まで好きなもの食べることができて、元気で良かったね。」と言っていました。
ここからは私の思い出話になります。長くなりますがお付き合いいただければ幸いです。
私は現在モウコノロバの担当ではないですが、担当をしていた時期を含め5年半ミンミンに関わることができました。
前担当者から引き継いだ時、「ミンミンは高齢だからこうしてください」という内容が多くありました。ミンミンは当時23歳でしたが、平均寿命は約25歳なので、当時でもだいぶ高齢個体でした。
ミンミンは間接飼育(動物と同じ空間に入らず、柵越しに飼育する方法)だったので、家畜のウマやロバのようにブラッシングはできませんでしたが、人間が大好きなので柵に顔を近づけて撫でて~とアピールすることもありました。柵越しに撫でてあげると気持ちよさそうにして、舌をだすこともあり、野生のロバであることを忘れてしまうほどかわいらしい表情を見せることもありました。
しかし、若い頃のミンミンを知る飼育員は口をそろえて「昔は荒れていた。走りまわるし、壁に激突してくるし、怖かった。」という思い出話をします。人間でもよくある話ですが、年齢とともに性格が丸くなったのでしょうか。
(野毛山動物園にいた頃)
モウコノロバを初めて見る来園者からは「目が優しいのね」「老齢なのに奇麗ね」「この子しかいないの!?」色々な声を聞くことができました。また、「ミンミンがこの前こういうことをしていました」「ミンミンは最近こうですね」と、私が見ていない瞬間のミンミンのことを教えてくださることが多かったです。
そのような声を聞くことができて、私も嬉しくなりました。
皆さんの呼びかけに対してミンミンはよく耳を動かしたり、声を出して応えたり、時には手前の柵のところまで来たりして、喜んでいた姿が忘れられません。
担当になった当時でも「高齢」と言われていたあとに5年も生き、最後まで元気で私にも来園者の皆さんにも色々なことを教えてくれたミンミンには感謝しかありません。
みなさんも突然の出来事で驚いたと思います。ミンミンは最後まで苦しむことなく眠るように旅立ちました。
ミンミンの性格も考えた上で単独飼育を長年続けていましたが、モウコノロバは野生では群れで暮らす動物です。それでもミンミンが最後まで元気でいられたのは、来園者の皆さんがたくさん声を掛けてくださっていたおかげだと思っています。
日本でモウコノロバを見ることはできなくなってしまいましたが、これからもぜひモウコノロバ、ミンミンのことを思い出してあげてください。
皆さんもミンミンとの思い出がたくさんあると思います。新型コロナウイルス感染症の防疫対策のため、今回は献花台は設置せず、代わりに「#モウコノロバのミンミン」を付けてSNS等にアップしていただけたらと思います。ミンミンは国内唯一のモウコノロバでした。皆さんの思い出とともに、ミンミンのこと、モウコノロバのことをよりたくさんの人に知っていただき、関心を持つきっかけになればと思います。
ミンミンを愛してくださった皆様、どうもありがとうございました。
わたなべ