更新日:2022.12.04傷病動物ブログ②
傷病動物ブログ②
みなさんこんにちは。
(横浜市の動物園での傷病鳥獣保護の取り組みはこちら)
皆さんは洗い物は得意ですか?
食器の油汚れはなかなかきれいに落ちないのでうんざりしてしまいますよね。
今回、紹介するのはそんな洗い物の話です。
といってもの食器ではなく、鳥についての話です。
こちらは「油等汚染事故対策水鳥救護研修」という研修の一場面です。
※漢字だらけなので簡単に言うと、油で汚れた鳥の洗浄方法を学ぶ研修です。
「油」といっても食用の油ではなく、船の燃料などに使用する重油です。
油のついた羽を洗浄液につけている様子
粘性が高いため、羽毛の内側に入り込んでしまうと落ちにくくなってしまいます。
野生動物にとって長時間触られることはストレスになるため、正しい洗い方で素早く洗浄を行う必要があります。
この研修は動物園の鳥類担当者や動物病院の職員などを対象に、過去の事故の様子や正しい洗浄方法を学ぶ会として開催されています。
今回、実習を手伝ってくれたのはこちらの動物!
野生のマガモとアヒルの交雑種のアイガモです。
※今回は研修なので実際に重油では汚さずに洗浄の練習だけ行いました。
子ども用の浴槽に動物に害のない洗剤を溶かしたお湯を張り、その中で洗浄していきます。
羽毛の立体構造が崩れないように、水圧をうまく使ってこすらずに押し洗いしていきます。
実際の事故現場では1羽の洗浄に数時間かかることもあるそうです。
洗浄後の鳥たちは体力を失っています。
油事故による体調の悪化や洗浄の際の疲れのためです。
(カモの体重は2㎏ほど。洗浄は人にとってもなかなか重労働です。)
そこで活躍するのがこちら。
なんだかわかりますか?
これは洗浄が終了した鳥を入れるプールです!
体力が回復するまでは、このプールで飼育します。
組み立ての様子↓
人がすっぽり入るくらいの大きさがあります。
今回は研修に参加した全員で設営しましたが、実際の事故現場では2人程度で組み立てることもあるそうです。
幸いなことに日本近海では、大規模な油汚染の事故は発生していません。
もちろん今後も事故が発生しないことが一番です。
ですが事故発生時に備えて、事故についての知識や正しい洗浄の仕方を学んでおくことが必要だと感じました。
実習終了後、温風機のきいた部屋で乾燥中のアイガモ。
たくさん手伝ってくれてありがとう!!
傷病動物担当 尾形