更新日:2022.12.19ズーラシアスクール第三回を行いました!
ズーラシアスクール第三回を行いました!
2022年11月、今年3回目のズーラシアスクールを開催しました。
テーマは「あなたの知らない日本の動物の世界」です。
今日のメインの動物はコウノトリとツキノワグマの2種類でした。
今回はスペシャルゲストとして、兵庫県豊岡市の「コウノトリの郷公園」から中継をつなぎ、現地でコウノトリの保全活動にご尽力されている松本獣医師から、お話を聞きました。
ライブ映像では、コウノトリ(右)が田んぼでアオサギ(左)と並んで餌を探しながら歩く様子などもみられました。
こうやってみると関東でよく目にするアオサギも結構大きめですが、コウノトリはもっと大きいことがよくわかりますね。コウノトリは日本の野鳥では最大級の大きさです。
松本さんのお話を通じて、日本では1970年代に絶滅したコウノトリが豊岡の地でせっかく野生復帰を果たしたのに、数が増えていくにつれコウノトリが事故にあって死んでしまう数も増えていることを知りました。
そこで、みんなで「コウノトリの事故を起こさないためにはどうしたらよいか」について考え、アイディアを集めてみました。
「コウノトリが用水路にはまらないように、スロープや階段をつける」
「コウノトリとアオサギを間違えないように看板を作る」
などなど...。たくさんのアイディアが出ました!
すごいですね。
その後、国内のコウノトリ展示場で実際にコウノトリを観察しました。
「あー、いたいた!大きい!」
「あれが巣か。...でもあんまり枝がないね」
(枝が少ないのは、繁殖期ではないので巣のメンテナンスをしていないからです)
といった感想が聞かれました。
次は二ホンツキノワグマの展示場へむかいます。
コウノトリは日本では最も保護活動がうまくいっている事例の一つと言えると思います。
しかしツキノワグマを含め、多くの絶滅の危機にある動物たちの保護活動がうまくいっているわけではありません。
それはなぜか。どうしたら人間も動物も幸せに暮らすことができるのか。
そんなことを考えるきっかけになったら良いなと思って、ツキノワグマをテーマに選びました。
4~6年生ともなると、ツキノワグマを知らないという子どもはあまりいません。
そこで一番背の高い180㎝越えのスタッフにクマのお面をつけて、
「このお兄さんよりツキノワグマは小さいと思う?大きいと思う?」と尋ねると、ほとんどの子どもが「大きい」に手をあげました。
というわけで、本物のツキノワグマの大きさを確認しに、バックヤードへ移動しました。
スタッフの右後ろに、二ホンツキノワグマのメリーが立っています。
少し見えにくいですが、台の上に立ってこのくらいの高さなので、身長150㎝のスタッフと同じぐらいということがわかりますね。
私たちはツキノワグマの名前は知っていても、実は大きさはよくわかっていない、ということがわかりました。
ここで、「メリー」の生い立ちについてお話をしました。
「メリー」の母親は、長野県の上田地域の山で猟師によって捕殺され、メリーは兄弟の「ケン」と一緒に須坂市動物園に保護されました。
その後、ズーラシアに来園したのです。
ズーラシアに少し慣れた頃のメリー。
寝っ転がってカシの葉を遊びながら食べたり。
となりの寝室にいるメガネグマ(愛称マックス)を立ち上がって見ていたりしていました。
ズーラシアスクールの子どもたちに、こんな質問をしました。
「メリーは動物園に来て幸せかな?」
すると「幸せだと思う。ご飯も食べられるし、鉄砲で撃たれることもないから。」
「不幸せだと思う。メリーのお母さんが人間と出会わなかったら、メリーはずっとお母さんと一緒にいられた。」
と、その答えは様々でした。
でも何を「幸せ」と考えるかは、一人一人違っているから、バラバラで当たり前なんだと思います。
だからこそクマのことをもっとよく知ることが、クマの「幸せ」を理解できることにつながるのではないでしょうか。
クマがクマらしく、人間が人間らしく、幸せに生きていけるように...。
今日は、ツキノワグマを身近で観察して、ツキノワグマと人間の「幸せ」について考えました。
あなたはどう思いましたか。
最後になりましたが、メリーのふるさとである長野県で、ツキノワグマの調査研究を続けている信州ツキノワグマ研究会より、「こども版信州ツキノワグマハンドブック」をいただきました。
ズーラシアスクールの子どもたちの手に渡るのは来月になりますが、どんな反応があるのか楽しみです。
優しい絵でとてもわかりやすくまとまっており、ツキノワグマのことを知りたい人にはぴったりの冊子です。
さて、次回はズーラシアスクール4回目のテーマは「私とオランとポテチと」です。
お楽しみに!
ズーラシアスクールスタッフ一同