更新日:2023.01.15ライオン担当者が見た、アフリカ紀行!~マサイマラ国立保護区・ゾウのカウンティング編~
ライオン担当者が見た、アフリカ紀行!~マサイマラ国立保護区・ゾウのカウンティング編~
Jambo~~(「`・д・)「ガオオォ
前回のブログ:ライオン担当者が見た、アフリカ紀行!~マサイマラ国立保護区・横浜お馴染みのようで...??編~
☆★旅スケジュール★☆
1日目■日本発
2日目■ケニア・ナイロビ着
3日目■ニャクエリの森
4日目■ニャクエリの森
5日目■移動+小学校訪問
6日目■マサイマラ国立保護区
7日目■マサイマラ国立保護区
8日目■マサイマラ国立保護区
9日目■移動
10日目■マサイマラ大学訪問
11日目■シェルドリック動物孤児院
12日目■帰国
皆さまはアフリカゾウの現状はご存知ですか?アフリカゾウは様々な要因でその生息数を減らしています。詳しい説明はこちら:アフリカゾウについて(アフリカゾウの涙HP)保全のためには、まず "現状の調査" をすることが重要です。
今回は、マサイマラ国立保護区内マラトライアングル地域の、どの場所にアフリカゾウの群れとその群れの構成が生息しているかの現状調査を体験させていただきました。
(マサイマラ国立保護区内のマラトライアングル地域についてはこちら:到着編のブログ)
現在獣医師の滝田さんはマラソラ(アフリカゾウの涙HP)といったプロジェクトを実施していますが、私たちは滝田さんのようにパイロットの免許を持っている訳ではないので、車両を使って地上から調査します。
まずは滝田さんと共に事前のミーティングをします。
こちらがマラトライアングルの地図です。
地図を区分分けし、どのエリアにどういった群れがいるかの調査(カウンティング)を行います。
裏面には、国立保護区内のルールについても記載があります。
マラトライアングルの地図や位置関係を頭に叩き込んだら、ゾウの個体識別についてを情報共有します。
アフリカゾウはオスにもメスにも牙がありますが、一般的にはオスはおとなになればなるほど体も牙も成長し、メスは体の大きさも牙の長さもある程度で止まります。
また、オスゾウはおとなになると基本的には1頭でいることが多いので、1頭でいるゾウを見かけたらだいたいオスであることが多いです。
しかし、群れの中にいる子どものゾウたちは、雌雄の判別がとても難しいので、牙のだいたいの長さで年齢を見て、雌雄判別は頭の形で判断するという判別ルールで調査しました。
車を走らせると、このようにあらゆるエリアにゾウの群れが観察できます。ちなみにこの写真のゾウはメスたちの群れです。子ゾウも混ざっています。
こちらはオスのゾウです!大迫力です。
オスのゾウにはマストと呼ばれる発情期があり、側頭部から大量の分泌物を出します。
このマスト期のオスゾウは、非常に攻撃性が高まるため危険です。少しでも近付くと車に突進してきたりと、体重約6トンの体で猛攻撃を仕掛けてくることがあるので、マスト期のオスゾウには絶対に近付いてはいけません。
実際の調査中の写真はこんな感じです。
適切な距離を保ち、群れの数と構成をメモしていきます。
なんと、ラッキーなことに生まれて数日くらいしか経っていないであろう、子ゾウを観察することが出来ました!
アフリカゾウは、生態系に大きな影響を持つキーストーン種と呼ばれる動物です。
ゾウが生活するために行う行動全てが生態系の循環を促しています。
ゾウは食べ物を探索するため、木々をなぎ倒しながら移動をします。一見、破壊的行動のように聞こえますが、木々をなぎ倒し空間を広げることにより、多くの種類の植物が陽の光を浴びることが出来ます。この行動がなければ、光を浴びることのない植物は枯れてしまい、多様性が失われます。なぎ倒した木々は小さな昆虫や爬虫類などの住処にもなります。
ゾウは植物の葉・枝・草をむしり取ったり、樹皮を剥いだりと、かなり豪快に食事をしますが、そのゾウの食べ残しなどを他の動物が食べたり、剥がれた樹皮から水分を摂る動物がいたりするなど、どの行動も自然生態系の中に組み込まれています。
そして、もちろん食べた分、ものすごい量の糞が排出されますが、この糞にも種子が含まれていたり、土壌肥料にもなります。ゾウは数千平方キロメートルにもおよぶ大移動をする動物なので、糞をすることで、広範囲に渡って土壌に肥料を撒いているような役割を果たしています。
更に、死んだゾウは土に還り、新たな植物が生育するための環境作りにも貢献します。
このように、ゾウの生活そのものが生態系の一部であり、地球や私たち人間にとって非常に重要な動物と言っても過言ではないくらい、自然環境に大切な役割を果たしています。
もちろん動物園でも、そういった環境問題について学ぶ機会もたくさんありますが、実際に野生のゾウを目の当たりにしてみると、より環境について考え、再認識していくことの重大さに気付かされました。
ぜひもう一度、このブログの最初にご紹介しました、アフリカゾウについて(アフリカゾウの涙HP)を読んでみて、より深く考えていただけたらなと思います。
最終的な調査の結果はこんな感じでした。
フィールドで乱雑にメモしたものなのできれいではありませんが、リアリティがあるのではないでしょうか...?(笑)
ゾウのカウンティングに続き、カバのカウンティングにも同行させていただいたので、次回のブログはカバ尽くしです!!
最後にオマケで...
野生のアフリカゾウの排便中のシーンを目撃したので、皆さまにも共有します♡
飼育展示係 鈴木(由)