更新日:2023.05.09ありがとう、アニル
ありがとう、アニル
動物園からのお知らせの通り、2023年4月27日にウンピョウのアニルが永眠しました。
国内最高齢の20歳でした。
私がウンピョウ担当になり約1ヶ月でしたが、アニルからはたくさんのことを学びました。
今回はアニルへの感謝の意味を込めて、皆さんにお話ししたいと思います。
アニルといえば長いしっぽと、とても優しい目をしているのが特徴的です。
神経質な性格の個体が多いウンピョウですが、アニルは初日からトングから餌を食べるほど穏やかな性格で、顔にもその性格が出ているようでした。
また、食欲も旺盛で、死亡する2日前まで大好きなお肉や大腿骨をもりもり食べていました。(先日のブログでも紹介した大腿骨の横で寝ているアニルです)
足腰が弱くなる前までは展示場が大好きで、展示場に出ることが難しくなってもバックヤードや寝室では高いところに上ることが多かったそうです。
このように、四肢をぶらーんとしている写真をご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、私が印象に残っているアニルの寝方は違いました。
このようにびよーんと伸びている姿です。
体調が良く、室温も適切な時に見られた寝姿だったので、アニルの健康状態を知る大きな手掛かりとなっていました。
そして最近は、転落防止のために高いところにある台やスロープを取り除き、地面で過ごすようになりました。
高いところにのぼることが大好きだったアニルのために、少しでも変化のある寝室にしたい、ということで小屋を設置しました。この高さであれば落ちてもケガにはならないと思い、設置してみましたが......
アニルは小屋の中が良かったようです。
アニルに食欲不振が見られてからは、一喜一憂の日々でした。
食べ始めてもすぐにやめてしまう時や、まったく餌に興味を示さない時、ものすごい勢いで餌を催促する時がランダムにありました。
どんな大きさや、どんなお肉であれば食べてくれるだろうと試行錯誤する日々でした。そのようなこともあり、よく食べてくれる時が最も喜びを感じる瞬間でした。
21歳の誕生日を目標に頑張ろうねと声をかけていた矢先、このようなこととなり、自らの無力さを感じております。
アニルはこの1年間、何度か体調を崩したこともありましたが、何度も回復し力強い姿を見せてくれました。
1ヶ月という短い期間ではありましたが、アニルの担当になれたこと、心から嬉しく思います。
そんなアニルには、「ありがとう、よく頑張ったね」と伝えたいです。
アニルの飼育を通して学んだことは、必ず今後に活かしていきたいと思います。
以前、アニルのブログを投稿したところ、多くのお客様からお声をいただきました。本当にアニルは愛されていたんだなと感じました。
今まで見守っていただいた皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。
皆様、本当にありがとうございました。
そして、アニル、本当にありがとう。
※おねがい
献花台を設置する予定はございませんので、献花等、動物園にお寄せいただくことはお控えいただきますようお願いします。
5年目飼育員 脇田