更新日:2023.10.26ダッシュ、ありがとう
ダッシュ、ありがとう
10月22日19時頃、アムールヒョウのダッシュが死亡しました。
突然の訃報に驚かれた方も多いと思います。
死因は慢性腎不全でした。症状が悪化してからこんなにもお別れがは早いなんて、と寂しい気持ちでいっぱいです。ですが、最後までダッシュはダッシュらしく、生きようと頑張ってくれました。
過去のガイドやイベント、ブログでもたびたび紹介したように、アムールヒョウはハズバンダリートレーニングでワクチン接種や採血を行っています。
今年の7月の採血でダッシュは腎臓が悪いことが判明しました。ネコ科の腎不全は対処や治療法が確立していません。その時点では、まだかなり悪いという数値ではありませんでしたが、今後いつかは食欲がなくなったり、動きが悪くなったりと症状に出てくるだろうと理解していました。
判明してからも体調は特段今までと大きく変わる事はなく、今年は寒いところに生息する「アムールヒョウ」にとっても、とてもとても暑い夏でしたが、普段通り元気に過ごしてくれていました。
ところが10月に入ってから、普段であればきれいに舐めるようにしっかりと食べきるダッシュが、ポロポロとなんとなく大雑把に餌を食べるようになりました。餌を残し始めたことをきっかけに、採血を行うと夏よりも値が悪くなっており、ここから数日後にはついに餌を食べなくなってしまい、そして動きも少しずつ鈍くなり、最後の日を迎えました。
いつも担当動物には1頭ずつおやすみと声をかけ獣舎を去るのですが、最後に会ったその日には、なんとなくふと去り際にもう一度「ダッシュー!おやすみー!」と声をかけました。すると低く小さくウウンと鳴いて返してくれたのでした。
ダッシュは、「いいヤツ」です。言い方がちょっと悪く聞こえるかもしれませんが、気のいいヤツ、親切、優しいというニュアンスです。
体調を崩してからも、ダッシュはなかなか動かず部屋が掃除してあげられないなぁ......と困っていれば、目の前でふと立ち上がり、隣の寝室へ移動してくれたり。食欲がないはずなのに、トングで餌を持っていくとフンフンとにおいだけ嗅ぎにきてくれたり。
最後の採血もなんとなく食欲が鈍くなっていたのにも関わらず、普段通りトレーニングの台に座り、尾を引き出しても怒ることなく採血をさせてくれました。
落ち着きのある安定した動きや性格に「ダッシュは、ほんといいやつだなあ。」といつも感謝し、そして毎度関心していたのでした。
展示場では堂々とゆったりした姿が印象的で、お気に入りは台の上・茂みの凹んだところ。そして洞穴の中でした。
木の丸太を入れると気に入って抱えるようにして遊んでいたり、寝室では担当者相手にシャーシャー言いながらもスリスリと寄ってきたり、、
部屋に帰る時は担当者が素早く物陰に隠れる姿に飛びつきながら帰ってくる「かくれんぼ」に付き合ってあげないと帰って来なかったり......。笑
「おとななダッシュ」とは違う、無邪気な面もみせてくれました。
あとちょっぴりビビりで気弱なところもありましたね。
「ピンク色の鼻がダッシュ、黒いのがトライですー!」というおなじみの紹介も、もうする機会がないのだなと思うと寂しさもあります。
ダッシュもトライも見ればわかるよ!という方はもちろん。もし、ズーラシアで一度でもアムールヒョウをみたことがある方、写真をお持ちでしたら顔を確認してみてください。
鼻の色がピンク色でしたらそれがダッシュです。優しくて、おおらかで、ちょっとビビりな、気のいいアムールヒョウ、ダッシュです。
アムールヒョウは、とても数の減ってしまった動物です。たくさんの園館同士が協力し合い、繁殖を計画的に行っています。血統的にも、ダッシュはきょうだいが多いこともあり、子孫を残す機会はありませんでしたが、ズーラシアで長い間その姿や、仕草でたくさんの魅力を伝えてくれました。そんな、ダッシュに伝えきれないほどの感謝を込めて!
ありがとう、ダッシュ。
※おねがい
衛生面や野生動物への影響の点から、献花台を設置する予定はございません。ご理解の程、お願いいたします。
そしてSNS上にハッシュタグ「#ダッシュありがとう」をつけて、ダッシュの写真や思い出をたくさんアップしていただき、そちらをダッシュを偲ぶ機会とさせていただければと思います。
ダッシュをまだ見たことないよという方の元にも届くくらい、たくさんの気持ちと共に発信していただき、一緒に思いを馳せていただければ嬉しいです。
担当:イケダ