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ようこそ、たんぽぽ! 元気でね、さすな!の写真

更新日:2023.12.23ようこそ、たんぽぽ! 元気でね、さすな!

更新日:2023.12.23

ようこそ、たんぽぽ! 元気でね、さすな!

環境省と(公社)日本動物園水族館協会が連携して進めるツシマヤマネコの保護増殖事業における「令和5-6年 ツシマヤマネコ飼育下繁殖計画」に基づき、今年も繁殖期に向けた園館移動が実施されました。

※ツシマヤマネコ保護増殖事業(生息域外保全)について
環境省が国内希少野生動植物種に指定するツシマヤマネコについては、繁殖の促進等のため保護増殖事業が実施されています。当該事業に基づき、以下の方針により飼育下繁殖に取り組んでいます。
(1)ツシマヤマネコの絶滅を防ぐための、保険としての飼育下個体群の維持
(2)科学的知見を収集、解析し、生息地での保全対策への応用
(3)ツシマヤマネコ保護増殖事業の推進に資するツシマヤマネコの現状等の全国的な普及啓発
(4)野生復帰技術開発又は野生個体群の補強や再導入に求められる要素を備えた個体の育成

 

今年はさすな(メス)が京都市動物園へ出園し、福岡市動物園からたんぽぽ(オス)、京都市動物園からりょう(オス)ゆり(メス)が来園することになりました。

12月15日、まずは福岡市動物園よりたんぽぽが来園!たんぽぽ.jpgようこそ!

たんぽぽは非公開施設で飼育管理を行うため、ご覧いただくことはできません。
しかし、ぜひみなさまにたんぽぽのことを知ってもらいたいなと思いますのでご紹介いたします。たんぽぽ2.jpgツシマヤマネコの生息する長崎県対馬ではシカやイノシシの数が増加しており、農林業や生態系への被害が深刻となっています。同時に個体数を管理するために設置されたシカ・イノシシ用の狩猟罠に誤ってツシマヤマネコがかかってしまう錯誤捕獲(さくごほかく)も大きな問題となっています。

たんぽぽは「くくり罠(設置された場所に足を踏み入れるとワイヤーが飛び出し締め付ける罠)」にかかっているところを保護されたのですが、罠にかかっていた右前肢は壊死しており断脚手術が行われました。
その後、野生で生存していくことが厳しいのではないかと判断され、動物園で飼育されることになったという経緯があります。
近年くくり罠が原因と考えられるケガをしたヤマネコが増加しており、錯誤捕獲は交通事故と並んでツシマヤマネコの生息を脅かす大きな要因となっています。現地では早期発見のための罠の見まわりや、締め付け金具の位置をヤマネコの足が抜け出せるように調整してもらうなど協力を呼び掛けています。

離れた場所に暮らしていると、実感がわきにくいとは思いますが、たんぽぽの来園が野生のツシマヤマネコの置かれている現状に関心を持つきっかけになれば...と考えています。IMG_2358.jpgこれから短い間だけど、よろしくね!

続いて翌日の16日にはさすなが京都市動物園へ出園しました。

さすなは昨年の11月にこう(オス)と共にツシマヤマネコ野生順化ステーションより来園し、約1年と短い間でしたが、色々なことを学ばせてもらいました。

No.94♀さすな .jpgちなみにこちらは私のお気に入りの写真です(^^)夏毛さすな.jpgこちらは夏毛のすっきりとしたさすな。比べると夏毛と冬毛で印象がずいぶんと異なりますね。

さすなとの思い出で印象深いのは来園してすぐの時、扉を開けようとすると威嚇しながら飛び掛かってきたことです。
さすなは人工哺育で育った個体なのですが、にもかかわらず飛び掛かってきた姿に「さすがヤマネコだ!」と驚いたのを思い出します。さすな2.jpg
その後少しずつ環境にも慣れ、餌の気配を感じるとそわそわしたり、目の前で観察することも許してくれるようになりましたが、最後まで警戒はしていました。

京都市動物園では繁殖を目指し、非公開施設に入るため会えなくなりますが、これからのさすなの健康を祈っています。
ズーラシアに来てくれてありがとう!元気でね~!!

さすなの出園後はりょうゆりが来園したのですが、長くなりますので次回に続きます...。