更新日:2021.10.17柿展にて
更新日:2021.10.17
柿展にて
恒例となっております『柿展』開催中です。
当園のカキノキは、木原博士が京都から横浜へ研究所移転の際、京都大学から譲り受けた品種がベースになっており、その後も品種の収集に努め現在にいたります。農産物でもあるカキノキは農業試験場などで新しい品種がたくさん作り出されていますが、こちらではそういった品種ではなく、日本各地において昔から伝わってきた品種をメインにコレクションしています。しかしながら、近代日本における開発で、地方の里山に生える多くの古いカキノキは切り倒されてしまいました。ですから知らないうちに貴重な品種が失われてしまっている可能性も考えられるのです。
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さまざまな柿の品種が描かれている幻の書籍「柿実図譜」から、現在では見られない幻の柿たちの写実的な画(額装の方)。上は『本草図譜』に描かれた柿。こちらにも現在は見られない柿がたくさん描かれています。(ともに複写)↓
このようなカキノキたちがどこかでひっそりと生き長らえていることを願ってやみません!
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さて、みなさん黒柿は、ご存じですか?「ああ、黒っぽい実の柿ね」と思った方、半分正解です。黒柿という品種は存在します。それとは別に、ここで紹介する黒柿とは、黒くなったカキノキの材のことで、じつはカキノキ(特定の品種ではない)の、しかも古木からのみ採取できる大変貴重な材なのです。少なくとも100年以上たった一部の木にしか現れない黒柿。古木が激減してしまった現在、こちらも幻となりつつあります。
板材の黒い部分がそれです。↑
今回もこの黒柿を使った工芸品を展示していますので、是非ご覧ください。
『柿展』は、今月31日(日)までです。