更新日:2021.07.23ザビコとの距離
ザビコとの距離
ザビコは金沢動物園のオオツノヒツジの中で唯一、担当者でも触ることができません。
とにかく警戒心が強いのです。さらに気が強く、他のメスからも一目置かれています。
なんとか警戒心をなくしてほしいと思い、毎日、「ザビコ~。ザビチャ~ん。」としつこく呼んでは逃げられるという繰り返し。
そんなザビコとの距離が、ここ最近縮まってきました。
他のメスたちは、担当者が獣舎や展示場に入ると、すぐに近づいてくるのですが、以前のザビコなら、ササっと距離をとっていました。
(鋭い目つきでこちらを警戒しながら見るザビコ。2018年撮影。)
それが今年に入り、他のメスたちと混じって、ザビコも近づくようになってきました。
初めは、みんなの輪の一番後ろに。それが、段々と前の方に来るようになり、今は、1頭でササっと、近づいてくるようになりました。
ザビコに触れようとすると、慌てて逃げていきますが・・・。
これは、かなり大きな進歩です。
(「何か、おいしいものもらえるのかな?」と自分から様子を見に来ました。)
ザビコにどのような心境の変化が?と思い返してみると、群れの順位が少し変わってきているように思います。
オスのリーダー交代の話を以前のブログでも紹介しましたが、メス群れにも、オスほどわかりやすくはないですが、リーダーが存在します。
メスのリーダーは、長い間ザビコでした。今年に入り、リーダーがコハルに代わったような感じがあります。ザビコは11歳。年齢的に若いとは言えません。それに対して、コハルは5歳。若く、元気いっぱいで、体もコハルの方が大きいです。
少し前はザビコがコハルに攻撃をする場面がよく見られたのですが、今は全くありません。
現在、ザビコとコハルはお互いに良い距離を保っている状態です。
コハルがザビコ以外のメスに攻撃する姿を見ることの方が多いです。
リーダーは、いつの間にかコハルに代わっていたようです。
そんなこともあってか、ザビコは以前のような鋭い目つきではなく、少し優しい目つきになったような気がします。
以前はほとんど見られなかった展示場で熟睡する姿や、今年生まれの子供に優しく接する様子などの変化が見られるようになりました。
(「この、小さい子は誰かな?」優しく様子をうかがっています。)
(暖かい日差しについウトウト・・・。以前では見ることがなかった姿です。)
その変化の一つが、担当者との距離なのかもしれません。
以前は、他のメスたちは一緒に牧草を食べているのに、ザビコだけ少し離れて食べていましたが(というより、ザビコが他のメスを追い払って食べていました。)、今は、他のメスたちと一緒に牧草を食べています。少し、ザビコの「老い」を感じます。
(木陰でのんびり休憩中。)
これからも他のメスたちと一緒に穏やかに暮らしてほしいと思います。
そして、私もしつこく名前を呼び続けて、もう少し距離を縮めたいなぁと思います。
さとう