更新日:2018.03.19セスジキノボリカンガルーのワリ
セスジキノボリカンガルーのワリ
今日はみなさんにご報告があります。
セスジキノボリカンガルーのワリが3月14日、午後4時ごろ死亡しました。
昨年の秋ごろから木の葉の採食が悪くなり、その後、総排泄腔(お尻の部分)に癌が見つかり、すぐに麻酔下での処置を行いました。その後は高齢ということもあり体に負担をかけないようケアをしていくことにしました。
(展示場に出ていた時のワリ。ビワの実を食べています)
ワリは2000年12月にセスジキノボリカンガルーの生息地であるパプアニューギニアからやってきました。
ワリには現在オーストラリアにビワという娘がいて、当時は親子で可愛らしい姿を見せてくれました。
その頃からワリを応援してくださる方が多く、昨年11月に健康管理のため展示をお休みにした際、「ワリは元気ですか?」と心配してくださる方がたくさんいらっしゃいました。時には心配で涙を流す方もいて、ワリは体の大きさは小さいけれど、とても存在が大きいと感じました。
麻酔下での処置後は木の葉も少し食べるようになり、大好きなパンやインゲン、サツマイモなどをたくさん食べていました。
(サツマイモを食べるワリ)
キノボリカンガルーは花も食べる動物なので、ハイビスカスをあげるととても美味しそうに食べてくれました。
ですがやはり徐々に癌は進行。
ワリの残りの命をサポートする中で色々な葛藤やこれでいいのかなど悩みましたが、ワリの強さにも助けられ最期までサポートすることができました。
ワリは、死亡した14日の朝も大好きなインゲンを少し食べ、私を驚かせました。
でもきっとそのくらい強いワリだったので28歳まで生きることができたのだと思います。
(12月ごろのワリ)
キノボリカンガルーの飼育下の寿命が約20年といわれるなか、推定28歳まで生きたワリ。
人間で言うとおそらく100歳を超えたおばあちゃんでした。
セスジキノボリカンガルーでは世界最高齢。
でも世界最高齢は私たち人からみたものさしで、ワリからしたら力強く生きた結果。
この数か月でワリからたくさんのことを学び、考える機会をもらいました。
この経験をこれからの飼育に活かしていこうと思います。
「ワリワリ」は現地の言葉で「長い航海」という意味です。
ワリは長い長い航海を続けてくれました。
ワリ、お疲れさまでした。
ワリへのお別れの場として3月19日から25日まで、アマゾンセンターに献花台を設置しています。
キノボリカンガルー担当 坂上