更新日:2021.05.31チンパンジーのあれこれ⑥ 色々な食料(動物園編)
チンパンジーのあれこれ⑥ 色々な食料(動物園編)
前回のブログでもご紹介しましたが、ズーラシアではエサの中にリンゴとバナナが含まれています。
しかし、これだけでは栄養バランスが悪いのでその他に小松菜・蒸しサツマイモ・蒸しニンジンを与えています。
この5種類を中心に、朝と夕の1日2回与えています。
朝は1頭ずつ群れの中での順位が高い順に与え、その日の体調チェックを含めて個体ごと1対1でコミュニケーションをとる時間を作ります。夕方は個別にトレーニングを行い、寝室に入った順に食べています。
しかし野生編でお話したように、ズーラシアでも起きている時間はなるべく食べものに時間をかけられるでは12時のおやつに旬の野菜を、14時のおやつに季節の野草や木の葉を与えています。
12時のおやつには季節にあわせて冬野菜と夏野菜を与えています。
冬野菜の献立として11月~4月はネギ・ダイコン・ゴボウ・カボチャの4種類を日替わりで与えています。
(ゴボウを食べるサチコ)
つい最近から与えるようになった夏野菜は、ナス・キュウリ・トマト・カボチャの4種類です。
(トマトを食べるマリモ)
野菜によっても好みが分かれていますが、だいたいの種類は食べます。
今はお休み中ですが、1か月に1度のチンパンジーに旬のおやつをプレゼント!ではより様々な種類の野菜や果物を食べていました。
(メロンを食べるマリモ)
(スイカを頬張るマリモ)
14時のおやつの野草や木の葉にも好みがあり、だいたいは野草>落葉樹>常緑樹です。
(リュウゼツサイは大好物です)
季節によって食べごろの植物は違うため担当者は毎日おいしそうなものを探し求めています。
これまでに何十種類もの植物を試し、嗜好性を見てみたところ、今ではだいたい20種類ほどまで絞られてきました。しかし、この20種類も毎日同じものだと飽きて食べなくなったり、柔らかいおいしそうな葉っぱでないと食べなかったりするのです。
ぜいたくにみえるかもしれませんが、野生ではおそらくじっくりと選んで自分が納得のいくものを食べていると思うのでなるべく選択肢を増やしてあげたいと思います。
4月~11月は常緑樹はあまり好まず、食べても春の新芽くらいです。しかし、12月頃からはムシャムシャと食べるようになり、冬場は常緑樹しか採れない我々からするとありがたいことですが、いつもなぜだろうと思うのです。
14時のおやつは量も一定ではないため全頭均等にというわけではないですが、欲しいものに対して何とか工夫をし取りに行く姿と、おいしそうに食べている満足げな表情は見ていて飽きない一面でもあります。
(欲しいものの日は格子に張りついてでももらいに来ます)
メインのエサやおやつの他にも与えているものもあります。
収容後のトレーニングの際に与えるピーナッツやサル用ペレット、ヨーグルト、牛乳は全頭共通の好物です。
また、朝の給餌前にお腹をあたためて動かす目的として、毎日お湯にハチミツを溶かし与えていたりします。
食料となる植物が100種類を超える野生とは比べ物になりませんが、動物園ならではの食料を組み合わせて同じほどの幸福感と刺激を感じてもらいたいと思います。
3年目飼育員 脇田