更新日:2021.05.27チンパンジーのあれこれ⑤ 色々な食料(野生編)
チンパンジーのあれこれ⑤ 色々な食料(野生編)
今回はチンパンジーの食料についてです。
さて、まず始めにチンパンジーが食べるものと言えば何が思いつくでしょうか?
多くの方はバナナやリンゴなどを想像されると思います。
実際に日本では多くの動物園のメニューに入っていると思います。
(10頭のチンパンジーの約2日分のリンゴとバナナです)
しかし、野生ではどうでしょう?
チンパンジーは私たちと同じ雑食性と言われています。
雑食性とはいえ、野生のチンパンジーは60~80%で果物を食べているいわゆる果実食です。その理由として、より効率的にエネルギーを摂取できるからと言われています。しかし、野生にある果物は私たちが食べている果物とは違い、粗い繊維質にほんのり甘みがある程度のようです。
(写真はイチジクの仲間で現地の言葉でオムクニュと呼ばれる果実をほおばっている野生のチンパンジーです)
それ以外では、葉や木の髄、昆虫や小動物を食べています。小型のサルを襲って肉を食べることもありますが、ごく稀なようで必ずしも摂取しなければいけないわけではなさそうです。
(現地のイチジクの中には受粉を助けるイチジクコバエが入っていることが多く、果実を食べる際に同時に食べていると考えられています。)
最近では同じ地域に生息しているモリセオレガメを食べている様子も観察されました。
甲羅を歯でかみ砕くことができないチンパンジーは木や岩にぶつけて甲羅を割り、中身を食べているようです。道具を使用する動物ならではの食料と言えますね。
道具を使って得る食料として有名なのはシロアリです。巨大なアリ塚に長めの硬い棒を使って穴をあけ、別に用意したシロアリを釣る用の棒を差し込み捕獲します。
用途の異なる複数の道具を使い分けるというところに驚かされます。
(ズーラシアのチンパンジーはよく枝を使って水やはちみつジュースを飲んでいます。)
また、多くの霊長類では、食料を探す時間は日中起きている時間の大半を占めます。
チンパンジーも例にもれず、自発的に食料を探しなるべく時間をかけて食べる姿を動物園でも再現したいと考えています。
では、実際にズーラシアではどのような食料をどのように与えているでしょうか?
次回に続く.........
3年目飼育員 脇田