更新日:2022.08.18ハイラックスはゾウの仲間に近縁です!
ハイラックスはゾウの仲間に近縁です!
ネズミじゃないよ!
ハイラックスだよ!
みなさん、こんにちは!
まずはこちらの写真をご覧ください。
この看板は、ケープハイラックスの向かって左側の展示場前にあるものです。
この看板を見て、ハイラックスは「ネズミの仲間なんだ!」と思っている方、また「長鼻目(ゾウの仲間)に近縁である」という文章から、「ゾウの仲間なんだ!」と思っている方が多いように感じています。
そこで、「ハイラックスはゾウの仲間ではなく、ゾウの仲間と近縁である!」ということを多くのみなさまに伝えたいと思い、今回のブログを書くに至りました。少し長く難しい話になりますが、ぜひお付き合いください_(._.)_
ハイラックスは発見当初、分類学者を悩ませていました。
なぜなら、下顎の臼歯はカバ、上顎の臼歯と全身の骨格は小柄ながらもサイに似ており、前肢の手根骨の構造はゾウに似ています。また、胃の構造はウマに近いうえ、後肢の3本指は原始的な奇蹄類に似ています。
これだけ、様々な動物の特徴を少しずつ持っていることから分類が難しく、1766年、姿がよく似ていたテンジクネズミ属と同じ学名の「Cavia capensis(ケープタウンのテンジクネズミ)」という学名が付けられ、テンジクネズミ属に分類されましたが、その後、フランスの比較解剖学者ジョルジュ・キュビエ氏によってはじめて有蹄類に分類されました。
しかし、このように様々な動物に似ていることから、長鼻目(ゾウ目)や海牛類(ジュゴンやマナティー)などを含めた有蹄類全体の祖先に近い動物と考えられるようになり、その後発見された化石からも、原始的な有蹄類と祖先を同じにする動物であると裏づけられました。
つまり、ハイラックスとマナティー、ゾウは共通の祖先から分化しています!
ハイラックスの分類は、イワダヌキ目(ハイラックス目)イワダヌキ科(ハイラックス科)に対して、ゾウの分類は長鼻目(ゾウ目)ゾウ科に分類されています。
このように分類上は異なる動物となるため、「ゾウの仲間」ではなく、「ゾウに近縁な仲間」というわけです。
今回は、ハイラックスとゾウの関係についてお話ししました。
また、ハイラックスの体の特徴がそれぞれどの動物に似ているかを文章で解説しましたが、なかなか想像するのが難しいと思います。
ぜひ、サバンナエリアにいるハイラックスを観察し、体の特徴を確認してみてください!
飼育展示係 矢向