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フサオマキザルの赤ちゃんを救え!②の写真

更新日:2020.06.02フサオマキザルの赤ちゃんを救え!②

更新日:2020.06.02

フサオマキザルの赤ちゃんを救え!②

治療について・・・

CIMG1675.jpg

これは、獣医さんお手製の酸素を吸入させるための箱です。
元々は靴箱ですが、酸素吸入機のマスクをつけられない小さな動物のために工夫されています。

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赤ちゃんは、この箱にお湯の入ったペットボトルにタオルを巻いたものと一緒に入れられ、蓋を閉め、酸素吸入をしました。そして、注射などの治療を受けました。

すると、どうでしょう・・・

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しばらくすると薬が効き、体の温まった赤ちゃんは、ペットボトルに自分でしがみつくようになりました。息も少しずつ安定してきました。「生きる!」って言っているかのようです。

ただ、左の鼻からずっと鼻血が出ています。この出血がどこからのものかによっては油断なりません。そこで、元気になってきた赤ちゃんのレントゲンを撮りました。

フサオマキザル子供レントゲン写真.jpg

結果は、どこを見ても異常はありませんでした。また、数枚撮影して細かく見ても、内臓や脳からの出血もなさそうです。ただの鼻血だ!いける!!と、浮足立ったのも束の間。さて、どうしましょう。母さんからだいぶ長い間離してしまいました。

何らかの原因でお母さんから離れてしまった動物の赤ちゃんを、私たち人間が育てる「人工哺育」という方法があります。そうすれば、この赤ちゃんの今後の様子観察を容易にできます。しかし、群れで集団生活をする動物の中には、人工哺育で育つと、本来の社会性を学ぶことができず、群れへ入ることができないことも少なくありません。群れで生活できなければ、一生1頭で過ごすことになるかもしれません。戻すなら一刻も早く戻さなければ...。考えた末、群れへ戻すことにしました。

次回は治療後と現在の様子についてお話しします。

(飼育展示係 山田)