更新日:2020.08.14頑ななピーコさん
頑ななピーコさん
4月の担当開始時から、新米チンパンジー係に当たりの強かった、ミラクル＆ピーコさんの女子チーム。
彼女たちと毎日を過ごすようになってから4か月ちょっとが経過したのですが、ここ最近嬉しいことに、ミラクルに少し変化が。
ヨーグルトのスプーンや牛乳のペットボトルを新米から奪い取る行為、また手渡しで餌を受け取る瞬間にグッと力を入れて威嚇する行為が、ほぼ見られなくなったのです。
それとは逆に、近くでごろごろしてみたり、時には遊びに誘ってくるなど、新米に対する態度が少しずつ穏やかになってきました。
しかしピーコさんはと言うと・・・
相変わらず、全くダメです・・・。
新米が近くで観察していると、急に手を振り上げて脅してきたり、檻に向かって突進してくるといった行動が変わらず続いており、さらに最近、機嫌が悪い時などは、怒りながら水飲みの水をバシャバシャかけてくることも・・・。
また手渡しで餌をあげる際も、気に入らない餌は払い落としたり、新米の手を引っ掻こうとしてくるなど、油断が出来ません。
ちなみにヨーグルトをスプーンで食べさせる際、ピーコさんにスプーンを奪い取られることは、もはや毎日の日課と化してしまいました・・・。
（ピーコさんに取られたスプーンは、チンパンジーたちのおもちゃとなり、スプーン曲げのように綺麗に折れ曲がった状態で毎度回収されます・・・。）
そんなピーコさんですが、15年来の付き合いの代番F職員とは大の仲良し。
F職員への態度や表情・雰囲気は、新米に対するそれとは180度変わり、同じチンパンジーとは思えません（笑）。
今の自分からすると、Ｆ職員とピーコさんとのやり取りは、なんだか魔法を見ているような感じです。
現在群れでの順位が、子供のコウタロウよりも低く、最下位のピーコさん。
この4か月間、チンパンジーと過ごして実感したことは、チンパンジーの順位社会には、非常にシビアな一面があるということです。
ピーコさんの心の中には、他のチンパンジーに表せない不平不満やイライラが多くあり、それらを新米におもいきりぶつけているような気がします。
また53年間、野毛山動物園で暮らしてきたプライドもあり、「いきなりやってきた若造を、そう簡単に自分より上の順位にさせてたまるか！」と、一生懸命気張っているように思える時もあります。
ピーコさんに脅されたり意地悪されると、正直悔しく、イラッとする事も多くありますが、「自分がもしピーコさんの立場だったら・・・」と後で落ち着いて考えてみると、彼女の頑なな気持ちも分かる気がするのです。
常連のお客様達にも、「時間をかけて付き合っていけばきっと大丈夫！」とよく励ましてもらっている今日この頃（笑）、道はまだまだ長く険しそうですが、焦らずゆっくり根気よく、事故だけには十分注意して、ピーコさんとの関係作りに取り組んでいけたらと思います。
（新米チンパンジー係 伊原）