更新日:2024.04.26コンドルの卵
コンドルの卵
3月下旬の朝、コンドル舎に行くと...
雌のヘンリエッタが岩の巣の中で座っています。
これは...!!
というのも、コンドルは産卵のシーズンが決まっており、いざその日が近づくと食欲が落ちてくるのです。
この時も実際、数日前からヘンリエッタの食欲が落ちていたので、もうすぐだということは分かっていました。
ただ、いつもと違うことがあります。
「ヘンリエッタが座っている」この事実です。
ちょっと見せてね、と、デッキブラシでツンツンすると、
あった!!ちゃんと形ある卵!!!
実は、ヘンリエッタは毎年決まってこの時期に卵を産むのですが、
産むのは夜~翌朝にかけてで、朝の確認時にはすでに割れてペラペラの殻と
ドローっと流れ出た卵液になってしまった状態しか見たことがなかったのです。
このまま抱かせていても絶対に割られるので、選択の余地なく人工孵卵に切り替えです。
(記録をたどると無事に卵を回収できたのは5年ぶりのことでした。)
この卵を回収する作業、意外と手こずりました。
いつも割れている=卵には執着がなく自分で捨てている。
もしくはオスのショウが持って行って食べようとして割る、などと思っていたので、
すんなり回収できると思っていたのです。
しかし、その場からなかなか離れないヘンリエッタ。
ちゃんとあったヘンリエッタの母性に感動しながらも、
「でもゴメンネ!」と卵を職員二人がかりでなんとか回収。
割らないように、割らないように、大事に持って孵卵器のある場所へ。
卵はちょうど両手に収まるサイズです。
ヘンリエッタとショウはあまり仲が良くないので、きっと無精卵だろうと予想はするのですが、
それを確かめることにも意義があるので、孵卵器に入れ様子を見ます。
待つこと10日。
美しいですね。残念ながら、発生が進んでいれば見えて来ているはずの血管が1本も見当たりません。
というわけで、やっぱり発生は見らませんでした。
コンドルは1シーズンに2回卵を産みます。もうすぐその2回目の時期です。
さて、再び割れていない状態で回収することはできるのでしょうか??
飼育展示係 永井