更新日:2024.07.02愛され王子逝く
更新日:2024.07.02
愛され王子逝く
インドライオンのラージャーが死亡しました。闘病の様子はこれまでもお知らせしてきたので、ここでは悲しい話は割愛し、生前の様子をご紹介します。
クリっとした丸い目は王子を意味する「ラージャー」の名に良く合っていました。
一般的なライオンとは少し違い、以前、別のライオンを担当し、4月から新担当になった担当者を困惑させました。例えば、マタタビの仲間であるキウイの葉を与えると、以前担当していたライオンでは、一日中ゴロゴロと体を擦り付けていましたが、ラージャーは無視。かと思えば、ネズミモチという木の葉を好み、かじったりすりすりしたり。
また、あんなに至近距離で扇風機の風に当たるのが好きな動物には初めて出会いました。
そんな話を他の職員に話すと、みんなが口をそろえて「ラージャーだからね」と。とにかく個性的なライオンでした。そんな姿が多くの人に愛される所以でしょうか。
最後の日、いつも通りフワフワのワラの上で扇風機に当たりながら気持ち良さそうに寝ていました。
時々水を飲みに立ち上がることはありましたが、閉園後までゆったりと穏やかに過ごしました。夕方、様子を見に行くとその場所から姿を消していました。探すと展示場の反対側にまで遠征していました。最近、そちらに行くことはほとんどなく、どうしたのかと思っていると、檻越しに頭をすり寄せ、甘えてくれました。
具合が悪くなってから、これまでラージャーを担当した職員が何人も様子を見に来てくれました。みんなに挨拶を済ませることができた、とでも思ったのでしょうか、翌朝、苦しむ様子もなく穏やかに、眠ったように亡くなっていました。
多くの人に愛された生涯でした。これまでラージャーを応援してくださり、本当にありがとうございました。(最後の担当)