更新日:2021.02.26世界ダチョウの日②
世界ダチョウの日②
「世界ダチョウの日②」
前回のブログではダチョウの魅力についてご紹介しました。
今回はダチョウの野生下での現状についてご紹介していきます。内容的に面白みがない話になってしまいますが、最後まで読んでいただければ幸いです。
皆さんはダチョウが何種類いるかご存知ですか?
ダチョウはレッドネック系、ブルーネック系、アフリカンブラックの3つのグループに大きく分けられます。
レッドネック系はその名の通り雄の首と大腿部が鮮やかな紅色になる種類で、マサイダチョウ、キタアフリカダチョウ、シリアダチョウの3亜種が含まれます。そのうちシリアダチョウは既に絶滅したと言われています。
(マサイダチョウ)
ブルーネック系は雄の首が赤くなく、灰褐色になるためレッドネック系と比較すると青みがかって見えるのが特徴です。ブルーネック系にはソマリアダチョウ、ミナミアフリカダチョウ、モーリタニアダチョウの3亜種が含まれます。
(野毛山動物園で飼育していたソマリアダチョウ)
ここまで紹介したレッドネック系とブルーネック系はアフリカに元々生息していた野生種です。それに対してアフリカンブラックは羽毛などを利用するために南アフリカで育種された家畜種です。キタアフリカダチョウとミナミアフリカダチョウを交配して育種されたといわれています。野生種のレッドネック系やブルーネック系と比較して小柄で羽毛の質が高く、性格も温厚で飼育しやすいのが特徴です。
現在国内の動物園で飼育されているダチョウもほとんどがアフリカンブラックです。野毛山動物園でも以前はソマリアダチョウを飼育していましたが、2009年以降はアフリカンブラックを飼育しています。
(アフリカンブラック)
国内で主にアフリカンブラックが飼育されるようになったのは、ダチョウ牧場が増えたことで導入しやすくなったことに加え、野生種のダチョウの入手が困難になったからではないかと思います。というのも、現在野生種のダチョウは個体数が減少しているからです。
国際自然保護連合(IUCN)が作成しているREDLISTではソマリアダチョウが野生下での絶滅リスクが高い危急種に分類されており、キタアフリカダチョウも絶滅のリスクが低い低懸念種ではあるものの個体数は減少傾向にあるとされています。
個体数が減少している主な理由は
1.農耕地の開発による生息環境の破壊
2.羽毛などを利用するための乱獲
の2つだと言われています。家畜種であるアフリカンブラックは世界的に広く飼育されているものの、野生本来の性質を持つダチョウは人間生活の影響を受けて減少してしまっているのです。
私は動物の魅力を知ることと、人間が生活圏を広げたり便利な生活やお洒落をしたいといった欲求を満たす一方で、住処を失ったり乱獲されるなど皺寄せを受けてしまっている動物がいるということを知ることが動物の保護について考える第一歩になると考えています。
横浜市立動物園でダチョウを飼育しているのは野毛山動物園だけなので、「グミ」を通じてダチョウの魅力や野生個体が減少している現状を知っていただけるように情報発信を続けていきます。
(飼育展示係 岡﨑)