更新日:2021.03.28新米チンパンジー係の一年
新米チンパンジー係の一年
4頭のチンパンジー達と毎日を過ごすようになってから、早いものでまもなく一年になります。
一年前に初めて間近で接したチンパンジーは、想像以上に体が大きく迫力があり、またあまりに人間そっくりなその姿に、正直ものすごい怖さを感じてしまい、最初の頃は彼らと目を合わせることすら出来ませんでした。(チンパンジーがとにかく怖いので、実際以上に彼らの体が大きく見えていました・・・。)
また初めて手渡しで餌を与えた際、自分の手がこれまで経験したことが無いくらいブルブル震えた事は、今でもはっきりと覚えています。(この手の震えは、その後しばらく続いたのでした・・・。)
さてさて、そんなチンパンジー達との一年を振り返ってみると・・・
群れのアルファー・オス、25歳のコブヘイ。
人工保育で育てられたため、4頭の中で一番初めに友好的に近づいてきてくれたのがコブヘイでした。
途中新米に対して反抗期?のような時期もありましたが、大人たちの中で唯一コブヘイだけが、この一年で一度も自分に攻撃してきた事が無く、また他の個体に奪われたスプーンを取り返してくれたり、追いかけっこをして遊んだりと、少し子供っぽい所もある心優しいコブヘイに、この一年随分と助けられました。
昨年9月で4歳になったコウタロウ。
最初はお母さんの陰に隠れて少し様子を見ていましたが、さすがは子供、順応するのがとても早く、すぐに腕白さを発揮するようになりました。
今では新米を格好の遊び相手と思っているようで、4頭の中で一番コミュニケーションが取れています。
また4歳を過ぎた辺りからコウタロウにも色々変化が起こり始めたのですが、その話はまたの機会に。
コウタロウのお母さん、20歳のミラクル。
とても気が強いチンパンジーで、当初は新米から牛乳のペットボトルやヨーグルトのスプーンを奪い取ったり、威嚇してくる姿が多く見られました。
最近も気の強さは相変わらずですが、当初に比べるとだいぶ表情や態度が穏やかになり、体に触れる事も徐々に許してくれるようになってきました。
そして最初から新米に一番当たりのきつかった、最年長・推定55歳のピーコさん。
ピーコさんとの悪戦苦闘の日々は、一年たった今でも続いています。
最近はコウタロウからのしつこいイタズラや、ミラクルからのプレッシャーでイライラしている日も多く、そのような時はパワー全開で新米に当たってきます。
また、同じメスのミラクルは割とサッパリした性格なのですが、ピーコさんはプライドが高く、色々な事を根に持つ性格なので、その辺も付き合っていて難しい部分です。
ピーコさんと打ち解けるにはまだまだ時間がかかりそうですが、これからも焦らず根気よく、付き合っていきたいと思います。
この一年は、チンパンジー達の事を知り、またチンパンジー達にも自分の事を知ってもらうため、業務時間の大半を彼らの傍で過ごしてコミュニケーションや観察を行い、同時に事故防止にも非常に神経を使った一年でした。
次年度からも気を抜くことなく、しかしもう少し肩の力を抜いて(笑)、エンリッチメントの拡充やハズバンダリートレーニングの導入にも取り組んで行けたらと思っています。
4月からも引き続き、こちらのブログでお付き合いをお願いします!
(新米チンパンジー係 伊原)