更新日:2021.05.05ラージャーの爪を切りました
ラージャーの爪を切りました
前回のつづきです。
インドライオンのラージャーの左前肢をよく見ると...
爪が見えますね。
インドライオンは猫の仲間。
当然普段爪は引っ込んでいなければいけません。チーターは例外ですが。
このように爪が見えていてはいけないのです。
このまま放っておいては、爪が肉球に刺さって出血してしまうかもしれません。
そこで健康診断を兼ねて麻酔をして爪を切ることにしました。
普段のトレーニングでは、爪に触ることはできるのですが
硬くて大きな爪を切ることは未だできていないのです。
何せラージャーもおとなしくじっと手を出していてくれる訳ではないので。
下の2枚の写真は以前にも紹介した、尻尾からの採血風景です。
今回は、同じように尻尾を部屋の外に出させて
血を採る代わりに、麻酔薬を注射する方法を試みました。
何回かのシミュレーションと練習を重ね
いよいよ当日。
おっ、大成功!!と思いきや
目を覚ましてしまいました。
どうやら麻酔薬の種類と量が上手く合わなかったようです。
仕方がないので、いつもの麻酔銃の登場です。
もし注射で麻酔ができるのなら、鉄砲で狙わずに目的を達することができるので
動物の負担も獣医の負担も軽くて済むのだそうです。
でも次回は上手くできそうです。
さて、麻酔薬が効いたところで
吸入麻酔器の登場です。
待機していた応援部隊も合流してもらい
爪切りを開始しました。
前肢と後肢、二組に分かれ伸びている爪もそうでない爪もチェックしながら
切りそろえていきます。
ライオンの爪は大きくてとっても固いので、切るのにはコツがいります。
若い職員も招集し、今後のために体験してもらいました。
第一の目的である爪切りが終了したら
レントゲン撮影です。
数か所、気になるところの撮影が済んだら
大急ぎで撤収作業にかかります。
拮抗剤を注射して静かに覚醒するのを待ちます。
しばらくして、目が覚めたようです。
立ち上がりました。
麻酔をかけてから小一時間。
予定通り終了しました。
前回の記事を読み心配させてしまった方、申し訳ありませんでした。
現在ラージャーは、爪もすっきり整い再びのんびり暮らしています。
でも今回の健康診断と採血の結果をみると
気になるところもありました。
元気そうに見えるラージャーですが、もう13歳。
ラージャーに限らず人でも年を取ってくると
いろいろなところに"ガタ"が出てきます。
今後も健康診断を実施して、経過を注視していくつもりです。
野生のインドライオンは、一時期20頭にまで数を減らしています。
遺伝的多様性に乏しいであろうことが心配の種です。
さて、最近の"のげのぼり"
ライオンの姿が見えないではないですか。
担当者に聞いたところ
「ライオンは壊れてしまって使えない。」
と言われました。
どこかに腕の良い"獣医"さんはいないですかねぇ。
(やせマスク眼鏡 田島)