更新日:2021.06.16ピーコさんとコウタロウの悩ましい関係
ピーコさんとコウタロウの悩ましい関係
6月から野毛山動物園のお食事タイムが再開されたのですが、実はチンパンジーのお食事タイムに、ちょっとした変化がありました。
こちらは以前のお食事タイムの様子です。
そしてこちらが現在のお食事タイム。
さて、どこが変わったか分かりますか！？
かなり分かりにくいと思いますが（笑）
正解は・・・
以前は4頭一緒に食事をあげていたのですが、現在はコブヘイとピーコさん、ミラクルとコウタロウの2組に分けて食事をあげています。
上の写真は、展示場でお食事タイム中のコブヘイとピーコさん。
一方同じ時間帯、ミラクル＆コウタロウ親子は寝室で昼ご飯を食べています。
これには、ピーコさんとコウタロウの間の、非常に悩ましい関係が影響しているのです。
以前からこちらのブログで何回か触れてきましたが、コウタロウが成長するに伴い、ピーコさんへのイタズラやちょっかいが激しさを増し、最近はお食事タイムでピーコさんに渡した餌を、コウタロウが取ってしまうようになりました。
その都度担当者も、コウタロウを厳しく叱り、コウタロウもその時は一旦言う事を聞くのですが、次のお食事タイムの時にはまた同じことを繰り返します。
またピーコさんも、コウタロウに餌を取られてイライラし、最終的には担当者に思い切り当たってきて危険な場面も見られるため、今度はピーコさんを叱る事になる・・・といった堂々巡りが最近ずっと続いており、せっかく楽しいはずの食事の時間が、チンパンジー・担当者双方にとって良くない時間となっていました。
4頭並んでのお食事タイムはお客様から好評だったため、自分も非常に悩んだのですが・・・
このままの状態を続けてもチンパンジー同士の関係、そしてチンパンジーと担当者の関係においても良いことは無いと判断し、4頭揃ってのお食事タイムはいったん中止することにしました。
（当園のチンパンジーは終日4頭で生活しているため、当初はなかなか2組に別れてくれなかったのですが、そこはさすが頭の良いチンパンジー、一度理解するとスッと2組に分かれてくれるようになりました。）
そして6月より新しい形でのお食事タイムを始めた結果、それが幸いし、まずピーコさんが非常に穏やかになりました。
自分のペースでゆっくりと食事を出来るようになり、またこれまで担当者に対して見られた、手を引っ掻こうとする行動や、時には手を掴もうとする危険な行動がピタッと止み、落ち着いて餌を受け取ってくれるようになりました。
やはりコウタロウや、時にはミラクルからのプレッシャーが非常に強かったのだと思います。
（コブヘイはピーコさんの餌を取る事が無いため、一緒に食事をしても安心できるようです。）
この一年間、餌を渡す際に随分とピーコさんと争い関係を崩してしまったため、初めからこの方法でやれば良かったなぁ、ピーコさんにも悪いことをしたなぁと、今は反省しています。
今月から代番N職員も、いよいよ通常の餌を手渡しであげる練習を始めますが、2組に分けた状態で行えば、4頭中一番癖のあるピーコさんとN職員双方にとって落ち着いて且つ安全に関係を築いていけると思うので、そういった意味でもこの方法を継続して行こうと思います。
また意外な事にミラクル・コウタロウ親子も、ピーコさんと分けて餌を与えると、非常に落ち着いて食事をするようになりました。
ピーコさんの分を取ってやろうという急ぐ気持ちが無くなり、また担当者にも叱られることなく、結果穏やかな食事の時間を送れるようになったようです。
4頭揃ってのお食事タイムを楽しみにして頂いていたお客様には大変申し訳ありませんが、引き続き温かく当園のチンパンジー達を見守っていって頂けると幸いです。
（チンパンジー係2年生 伊原）