更新日:2023.01.09鳥インフルエンザって?
鳥インフルエンザって?
こんにちは、ダチョウ・フラミンゴ担当者です。
冬になって「鳥インフルエンザ」という言葉を多く耳にするようになりました。
鳥インフルエンザは、名の通り鳥類のインフルエンザです。
「高病原性」と「低病原性」ただの「鳥インフルエンザ」の3種類あり、
「高病原性」と「低病原性」は確認されると様々な防疫措置がとられます。
また、高病原性鳥インフルエンザの場合、鳥の致死率はかなり高く、ほぼ死亡すると言われます。
日本では冬から春に発生していましたが、昨年はいつもなら収束する時期になっても
北海道でカラスの感染が確認されたり、哺乳類の死体からも高病原性鳥インフルエンザが見つかったりしました。
神奈川県でも季節外れの9月に猛禽で感染が確認され、動物園は鳥類の非展示や緩衝材を設置して対策しました。
(コーンバーで鳥インフルエンザ対策をするフラミンゴダチョウ舎)
担当のダチョウとフラミンゴはどちらも鳥類ですが、
実は、高病原性鳥インフルエンザを通して見ると
ダチョウ(家畜種)とフラミンゴ(野生種)に分けることができます。
(食事にいそしむダチョウのグミ)
(陽に当たってまどろむフラミンゴ)
実はダチョウにはいくつかの種類があります。
野生種にはソマリダチョウやマサイダチョウなど数種類いるとされています。
(以前野毛山動物園で飼育していたソマリダチョウ)
ダチョウの種については、以前の担当者がまとめてらしたのでぜひご参照ください。
ではダチョウ(家畜種)とは何でしょうか?
実はダチョウは肉、卵、羽、皮(オーストリッチのカバンが有名ですね)をとるために
牛や豚と同じように品種改良されてきました。それが家畜種のダチョウです。
元々はヨーロッパの社交界で人気のあったダチョウの羽を集めるために、
南アフリカで交配が始まったそうです。
南アフリカにいた南アフリカダチョウとシリアに生息したバーバリタイプのダチョウ
(羽が上質)を交配させ、今の家畜ダチョウのアフリカンブラック種ができたそうです。
野毛山動物園のダチョウ、グミはこのアフリカンブラックの子孫なので、実は家畜種です。
(アフリカンブラック種のダチョウ、グミ)
さて、では高病原性鳥インフルエンザと野生種(フラミンゴ)、
家畜種(ダチョウ)どう関わってくるのでしょうか?
重たい話になってしまいますが、発生した際の対処が変わってきます。
高病原性鳥インフルエンザが発生すると、
・発生地を中心として、半径5~10キロ圏内での生きた家禽、死体、
その生産物(卵や肉)と排泄物の移動が禁止。
→ 近辺の養鶏場などの出荷ができなくなり、生産者、販売店、
購入する一般家庭にも影響が出ます。
そして
・「発生農場の家禽は全て殺処分」
家禽とは、『家畜の鳥』のことを指します。鶏やクリスマスにお世話になった七面鳥などを指します。
そしてその中にはダチョウ(家畜種)も含まれます。
野毛山動物園のダチョウ、グミは家禽です。
もし、野毛山動物園で高病原性鳥インフルエンザが発生すると、家畜伝染病予防法に基づき、
飼育している家禽は『殺処分』の対象となってしまいます。
(羽を揺らすダチョウのグミ)
フラミンゴは、家禽に含まれません。
ただ、高病原性鳥インフルエンザに感染しないわけではないので、
感染して亡くなってしまったり、場合によっては殺処分の対象になる可能性もあります。
(威嚇したり探索したり群れで過ごすフラミンゴ)
鳥類を守るために、職員が獣舎や獣舎周りを消毒したり、
獣舎に入る時は長靴を履き替えたりしています。
これは、獣舎にウイルスがない状態を保ち、
外(ウイルスがついてる可能性がある)から持ち込まないためです。
長靴の裏にウイルスがついてる可能性や、
獣舎のドアノブを触った職員の手にウイルスがついてる可能性も考えて、
とにかく消毒を徹底しています。
(消毒槽と履き替えの長靴、フラミンゴ用ダチョウ用と分けています)
(消毒中の通路)
実は、来園される皆様に入園口で踏んでいただくマットにも消毒液が染み込ませてあります。
いつも消毒にご協力くださり、ありがとうございます。
これから鳥インフルエンザのピークがやってきます。
今年はすでに去年の発生数を上回っている状態です。
鳥類の安全のために屋内に収容されて非展示となったり、見えにくい日があるかもしれません。
一羽でも感染してしまうと、感染していなくても「家禽」というだけで
殺処分の対象となってしまう鳥類がいます。
家禽でなくても、感染してしまう鳥類が出てしまうかもしれません。
鳥類を守るための対策です。
何卒、鳥類の健康のために、ご理解いただけますようお願いいたします。
(群れでくつろぐフラミンゴ)
早く安心したい ダチョウフラミンゴ担当者