更新日:2023.01.18ミラクル母さん流の子育て
ミラクル母さん流の子育て
チンパンジーの赤ちゃんはヒトの赤ちゃんと同じように、未熟な状態で産まれてきます。
ヒトの赤ちゃんは移動する時はベビーカーで、眠る時はベビーベッドでとなりますが、チンパンジー社会にはベビーカーもベビーベッドも、もちろんありません。
そのためチンパンジーのお母さんは、食事中も移動中も、休息時も就寝時も、赤ちゃんを24時間、片時も離すことなく抱いて過ごします。
生後50日を過ぎた当園の赤ちゃんですが、この50日間、ミラクル母さんも多分に漏れず、「ほぼ」、赤ちゃんを抱き続けています。
(ちなみにミラクル母さん、1日の大半は赤ちゃんを右手で抱いているので、よく右手が疲れないなぁと、いつも感心しております。)
さて、ここからが本題なのですが、「ほぼ」とあえて書いたのには、理由があります。
実はミラクル母さん、赤ちゃんを抱き続ける事に疲れると、時折赤ちゃんを床に寝かす事があるのです(笑)。
この行動は出産当日から見られ、自分が初めて赤ちゃんと対面した時も、赤ちゃんは床に寝かせられていました。
もちろん赤ちゃんが泣き声をあげると、すぐに抱き上げてくれるのですが、最近は赤ちゃんも床に寝かせられる事に慣れたのか、特に泣き声もあげず、きょろきょろ天井を見ていることも(笑)。
ちなみに展示場では決して赤ちゃんを手放すことはなく、安全と感じている寝室のみで床に寝かせる行動が見られる事から、ミラクル母さんなりに気を使っているものと思われます。
また、就寝時のスタイルにも特徴があります。
本来チンパンジーのお母さんは、就寝時は赤ちゃんをお腹の上に抱いて眠るのですが、ミラクル母さんは上の写真のように、添い寝スタイルなのです。
赤ちゃんがずっとお腹の上に乗っていると重いので、このスタイルを考案したのかもしれません。
さらに最近では、まだ歩く事の出来ない赤ちゃんの両足を地面に付ける行動も。
ミラクル母さん、もしかして赤ちゃんに早く自立してもらおうとしてない!?と、思わず勘ぐってしまいます(笑)。
さてさて、そんなミラクル母さんですが、先ほど書いたように展示場では決して赤ちゃんを手放すことはなく、また飼育員やお客様が赤ちゃんの写真を撮ろうとすると、さっと背を向けて赤ちゃんを隠すなど、大胆さの中にも用心深さを兼ね備えた子育てを見せてくれています。
これも過去2回、子供を育てた経験のあるベテランママだからこそ、なせる技なのかもしれません。
このようなお母さんに育てられたら、コウタロウのような性格に育つよなぁと感じる今日この頃(笑)、これから赤ちゃんもミラクル母さん流の子育てを受けて、どのようなチンパンジーに育っていくのか、楽しみでなりません。
(チンパンジー係3年生 伊原)