更新日:2017.06.16地味に凄いんです ミヤコタナゴ編
地味に凄いんです ミヤコタナゴ編
いきなりですが皆さんは、野毛山動物園にひっそりと建っている、こちらの獣舎をご存知ですか?
場所も分かりづらく、野毛山動物園の隠れスポット的な獣舎です。
実は自分も、今年の4月に担当になるまで、ほとんど入った事がありませんでした(笑)
建物の中はどのようになっているかというと、涼しげな水槽がずらっと並んでおります。
時折通路の暗さから、泣き出してしまう子供もちらほらと・・・。
そして、人気動物のライオンやキリンとは比べものにならないくらい、いつもガラ~ンとしています(笑)
さて、ここに暮らしているのは・・・
こちら、「ミヤコタナゴ」です!
地域の自然保護に関心のある方は聞いたことがあるかもしれませんが、まだまだ知られていない魚です。
しかし知名度が低いからと言って侮るなかれ。
実はこのミヤコタナゴ、国の天然記念物に指定されている、とても希少な魚なのです。
元々、関東地方にのみ生息していたミヤコタナゴ。かつては横浜市内でも見られたのですが、都市化に伴う生息環境の悪化により激減し、現在では千葉県と栃木県のごく限られた水域にのみに生息が確認されています。
そんなミヤコタナゴたちは、現在恋の季節の真っ最中!
オスの口の周りには、追星と呼ばれる繁殖期特有の白い目印が出現し、体色も婚姻色と呼ばれる鮮やかなオレンジに変化しています。(写真では伝わらない、本当に綺麗な色なので、一見の価値あり!)
またメスは、お尻の部分から長い産卵管が伸びています。
実はタナゴの魅力は、その繁殖形態にもあり!
メスは長く伸びた産卵管を淡水産二枚貝の殻の隙間に入れ、貝のエラの中に卵を産み、そこへオスが放精するのです。
そして孵化した稚魚は、しばらく二枚貝の中で過ごし、7mmほどに成長してから貝の外へ浮上してきます。
現在こちらの貝の中では、稚魚たちがスクスクと成長中です。貝の外へ浮上してきたら、またこちらのブログで紹介しますね。
野毛山1,2を争う知名度の低いミヤコタナゴの、1年で最も魅力的なこの季節に、皆さん是非タナゴ舎へ足をお運びください!
(意外とタナゴにハマり気味 伊原)