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おさかな保育園その2 ホトケドジョウ編の写真

更新日:2018.08.24おさかな保育園その2 ホトケドジョウ編

更新日:2018.08.24

おさかな保育園その2 ホトケドジョウ編

おさかな保育園その2で紹介するお魚は、「ホトケドジョウ」です。
さて皆さんは、「ホトケドジョウ」というドジョウをご存知でしょうか?

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こちらがホトケドジョウです。
全長6㎝ほどの小型のドジョウで、近年、護岸工事などの開発による生息地の減少に伴い、生息数は激減しており、環境省や神奈川県のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類(ⅠA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種)に指定されている、希少な淡水魚なのです。

さて、野毛山動物園では昨年まで、ホトケドジョウの繁殖があまり順調に進んでいなかったので、今年は再度、繁殖に成功している施設へ足を運び、お話を伺いました。
その結果、産卵場所や稚魚の隠れ場所となる水草の量に、一つの原因がある事が分かりました。

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上の写真が昨年までのホトケドジョウの水槽です。
水草の量があまり多くなかったので、卵や稚魚がすぐに親ドジョウたちに発見され、捕食されてしまっていた可能性があったのです。

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そこで、今年はおもいきって水槽内を埋め尽くすほどのウィローモス(水草の一種)を投入してみました。
するとこれが大当たり!卵や稚魚が親ドジョウに発見されにくくなったようで、出るわ出るわ、最終的に200尾近くの稚魚を確認しました。

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ちなみにこちらが、孵化したての稚魚。全長は3mmほどしかなく、ドジョウというよりは普通の魚に似た外見です。
親と同じ水槽に入れておくと、そのうち捕食されてしまうので、毎日目を凝らして探し、ちっちゃな稚魚を発見次第、網ですくって育成用の水槽に移動します。

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こちらが稚魚育成水槽です。なにせ200尾近くも孵化したため、一時はこの水槽がいくつできてしまうのかと、若干の不安を覚えました・・・。

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育成水槽で泳ぐ、ホトケドジョウの稚魚たち。
稚魚には、孵化したてのブラインシュリンプ(エビなど甲殻類の仲間)や、ブラインシュリンプの卵から栄養豊富な黄身だけを抽出した稚魚専用フードを与えて育てました。

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最近は全長2㎝ほどの、だいぶドジョウらしくなってきた個体も現れ始めたので、親ドジョウと同じ餌へと切り替え中です。

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ちなみに親ドジョウたちの水槽の中にも、運よく捕食を免れ自然に成長している稚魚がちらほらと。これらの稚魚は、人工育成した個体に比べて成長も早く、体格や泳ぎ方もしっかりしています。やはり自然に育ったものには敵わないなぁと思います。

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200尾ほど確認できた稚魚のうち、現在育成できているのは70尾ほど。死亡数も多いのは、育成水槽へ移す時のダメージや、一つの水槽で飼育する個体密度の関係等、様々な原因が考えられますが、その辺りは次年度への課題として、今年度は引き続き気を緩めず、稚魚たちの育成に努めたいと思います。(おさかな保育園その3へ続く)

(飼育展示係 伊原)