更新日:2016.09.18このツバメは何ツバメ?
このツバメは何ツバメ?
ご存知の方も多いと思いますが、野毛山動物園では傷病鳥獣の保護活動を行っています。
詳しい取り組みは、下記のURLを参考にしてください。
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/hama-zoo/damage.php
傷病鳥獣の保護活動を行う上で、大変なことのひとつに保護動物の種の同定があります。
種の同定とは、分類上の種を見極めることです。
保護動物の多くは鳥類なのですが、日本で見ることのできる鳥の種類だけでも約700種(亜種含む)ほどもいます。もちろんすべての鳥の種類を完全に覚えることは難しいですし、中には姿形が大変似ているのに違う種類の鳥ということもあります。さらに言えば雛の状態ですと、まだ特徴が少なく、より同定が難しくなります。
基本的には保護に訪れる鳥たちは毎年似たり寄ったりの種類が来るのですが、まれに「この鳥はなんだ?」と思わず言ってしまうような種類のわからない鳥が来ることがあります。そんな時は図鑑で調べたり、より鳥に詳しい方に聞いたりして種を同定します。
今年の保護で和名の中にツバメの文字が入る鳥が3種いたので、外見にどのような違いがあるか比べてみます。
〇ツバメ(スズメ目ツバメ科)
日本で一番よく見ることのできるツバメ。和名ではそのまま「ツバメ」が使われています。
ちなみ英名だと「Barn(House) swallow」です。直訳すると「家ツバメ」ですかね。
外見の特徴は、
額と喉が赤茶色で、胸は白色、
頭頂から背中にかけて紺色で、翼と尾羽は黒色で尾羽には白班があります。
〇コシアカツバメ (スズメ目ツバメ科)
野毛山動物園から一番近い集団ねぐらは、おそらく多摩川付近かと思われます。野毛山動物園での保護は珍しいです。和名は外見の特徴から「コシアカ(腰赤)ツバメ」となっています。
外見の特徴は、
頭から背中は紺色、目の後ろから首の後ろ側まで赤茶色で、翼と尾羽は黒く、
腰が橙色になります。名前の由来となっているところです。
胸にも特徴があり、喉から腹まで黒褐色の縦班があります。
〇ヒメアマツバメ (アマツバメ目アマツバメ科)
前の2種のツバメと少し異なり、ツバメと名前がついていますが、スズメ目に属するツバメとは異なり、アマツバメ目に分類される鳥です。「皆前趾足」と呼ばれる、すべての指が頭の方を向いている足が特徴です。
このツバメも野毛山動物園での保護は珍しいです。
遠目に見ると前の2種とよく似ているように見えますが、間近で見ると違いがよくわかります。
外見の特徴は
喉と腰が白く、そのほかの部位は黒褐色になっています。翼は長めで広げると鎌形をしています。
そして足(指)が前2種と違い、太く鋭くなっています。
顔は、全体的に黒色で喉が白くなっています。
いかがでしたか?
成鳥になれば特徴が出てくるので、しっかり観察すれば区別できますね。
ただし裸雛の場合、見分けるのは難しいかもしれません。
(傷病鳥獣担当 鈴木)