更新日:2022.11.185年ぶり
5年ぶり
菊花展はとりあえず15日にて終了といたしました。今年度も小菊盆栽芸術協会長生会ならびに横浜菊花会の皆様展示協力誠にありがとうございました。
そして今回は、久しぶりに当園にて栽培した古典菊も展示しました。開花が遅いため、今からが見頃となっております。今夏は、一層暑さが厳しく、菊たちにとっては受難の夏でしたが、開花に至り作った甲斐があったと喜んでいます。
古典菊とは、古くから各地方で栽培されてきた菊の総称で、地方菊ともいいます。京都府大覚寺発祥の『嵯峨菊』、伊勢・松阪地方発祥の『伊勢(松阪)菊』、東京都(江戸)発祥の『江戸菊(正菊)』、熊本県肥後・細川藩発祥の『肥後菊』。これらは、輪の大きさから中輪菊に分類されます。青森県八戸発祥の『奥州菊(大掴み)』、岐阜県大垣地方発祥の『美濃菊(広物)』は大菊のひとつです。
こちらは、七五三作りの『嵯峨菊』。↓ 嵯峨菊は古典菊の中でも、最も歴史の古い品種群とされています。高さは、約2mあります。茶筅を立てたような花が特徴です。
いい感じに下葉が紅葉してきました。このような葉の枯れ上がりも鑑賞の対象とする日本人の美意識の素晴らしさ!嵯峨菊は、春を花、青葉を夏、紅葉を秋、枯れ上がりの部分を冬に見立てます。
上段に3輪、中段5輪、下段に7輪咲かせ、天地人とします。↑
次は、『伊勢菊』。↓ 地元では、松阪菊と呼んでいます。撫子、花菖蒲とともに「三珍花」のひとつ。
左3鉢は、天地人作り、右は箒作りです。
このように花弁が垂れるのが、特徴です。水切れではありませんよ! やさしさや繊細さを感じさせる品種群です。この繊細さを損なわないよう支柱には竹ひごを使いました。
こちらは、『肥後菊』↓ 肥後菊の仕立て方は独特です。又寄せと言って、決まった高さで摘心した後に出る脇芽を寄せて1本のように見せます。摘心は計4回。肥後菊は、細川藩が定めた「肥後六花」のひとつ。植物に向き合う植物栽培を通して、武士たちの精神の修養をおこなったのです。要するに、花は栽培者をあらわすということでしょうか。
肥後菊は、花で人の五常の仁・義・礼・知・信をあらわします。花弁には、平弁と管弁があり、写真は管弁の品種になります。
このように、古典菊にはそれぞれ決まった仕立て方があり、その姿は様々な意味を持っています。それらを知った上で鑑賞するとより一層、菊の美の奥の深さを感じていただけると思います。とっても面白い世界です。
大菊の一文字菊(広熨斗)↓