更新日:2024.11.29【あみあみ便り】 キリン研究会に参加しました
【あみあみ便り】 キリン研究会に参加しました
秋があっという間に去り...そうですが、キリンたちは食欲の秋を迎えています!!
さて、タイトルの「キリン研究会」とは?ですが...
毎年、全国のキリン担当者や獣医が集まり、キリンの飼育向上のために情報共有や意見交換したり、勉強会を開いたりしています。12回目となった今年は、盛岡市動物公園で開催され、担当者も参加してきました。
今年は「蹄や肢の管理について」をテーマに行われました。
キリンなどの有蹄類にとって、脚や蹄は非常に重要です。
野生に比べ、動物園という限られた環境では自然に蹄が削れずに伸び過ぎてしまい、過長蹄になってしまう傾向が見られました(過長蹄の原因は環境だけではなく、餌なども関係します)。そして、その蹄を手入れすることは困難でした。
しかし、近年では動物園におけるハズバンダリートレーニングの普及により、定期的な削蹄が可能になりつつあります。
野毛山でも、「そら」の両親「テビチ」と「マリン」は過長蹄の傾向が見られていました。そのため、蹄の改善のため、展示場には火山礫が導入され、環境の改善やハズバンダリートレーニングの導入が試みられていました。
2012年に野毛山で生まれた「そら」も何もしなければ過長蹄になる可能性は高いと判断し、2014年から本格的にトレーニングに取り組みました。
(懐かしの写真:2016年には蹄底の削蹄ができるようになりました)
(赤い地面が火山礫です)
そして、蹄底が確認できるようになった時、火山礫の効果を見てみたいと思い、火山礫の追加前後の蹄底の変化を観察したことがありました。過去にブログで紹介したことがありますが、改めて...ご紹介します。
キリンの蹄底には、人で言う土踏まずのような部分があるのですが
(懐かしの写真:初めて足上げで蹄底が見られた時の写真です)
「そら」の蹄底を見ると、中央が隆起しているのがわかります。この時は火山礫を敷いてから3年ほど経過しており、礫の粒が細かくなって、蹄が削れにくくなっていたと思われます。
その後、火山礫を新たに追加すると、蹄底がどのように変化するのかを見てみると...
2か月後です。
3か月後です...隆起していた中央部分が削れてきたのがわかりますね。
蹄底が隆起してしまうと、蹄の先(蹄尖)が地面に接触せずに伸びていくのではないかと考え、これ以降は火山礫を毎年追加するようにしています。自然に削れる環境を維持しながら、個体の歩き方の癖などに応じてトレーニング下で削蹄を実施しています。
そして、近年はレントゲン撮影のトレーニングを行い、関節などに異常がないかなども確認しています。
(レントゲン撮影の様子)
(「そら」の右前肢の一部です。大きいため一枚には収まらないため数回に分けて撮影します)
大きなキリンにとっては、蹄は小さいですが、その役割はとても大きく、場合によっては命に係わってきます。だからこそ、注意深く観察し、何かあった時にできる選択肢を増やしていければと思っています。
(この穏やかな顔をこの先もずっと守っていきたいです)
野毛山でこのような環境を整えられたのも、キリン研究会を通じて出会った仲間たちのおかげです。この先も全国のキリン担当とともに、キリンたちが健康に安全に暮らせるように、協力し合っていきたいと思います。
(飼育展示係 落合)