更新日:2024.11.23フラミンゴにお便りをいただきましたよ
フラミンゴにお便りをいただきましたよ
今回のブログは、SNSで募集した「#教えてのげやまお食事大公開」の回答になります。
(質問の募集は締め切っています。また、すでにいただいたご質問全てにお答えできるわけではありません。)
まさかフラミンゴでご質問を頂けるとは思ってもいませんでした。ご質問いただきありがとうございました!
頂いたご質問はこちら
「フラミンゴは子育て中、ミルク?でピンクの色素を幼鳥に与えるので自分は色褪せてしまうと聞きました。フラミンゴペレットを他の水鳥が食べるとだんだんほんのりピンクになったり、青の色素を含む食事でうっすらブルーのフラミンゴになったりするのでしょうか?」
早速お答えしていきます!まずはフラミンゴの生態のご紹介から。
多くの鳥類は親が昆虫や種子などを幼鳥に口移しで与えます。
ただ、フラミンゴは「ミルク」でヒナを育てる鳥類にしては珍しい生態があります。身近な生き物ではハトも「ミルク」を出します。
「ミルク」とは言いますが、哺乳類のようにおっぱいがあるわけではありません。親フラミンゴの食道の一部から出る赤い色素を含んだ分泌液がミルクの正体です。
もう少し詳しく説明しますと、
一部の鳥は口と胃の間に「そのう」と呼ばれるものがあります。
「そのう」では食べたものを一時的に蓄えます。
ただ、基本的に消化は行われず、口からの唾液によって食べたものを柔らかくして後の消化をしやすくします。
フラミンゴやハトは、ヒナを育てる時に「そのう」の内壁の細胞からタンパク質や脂肪の多い栄養満点な液体(ヒナ用のミルク)を出します。
メスだけでなくオスも出すことができ、ミルクは口移しでヒナに与えられます。
ヒナ用のミルクは、フラミンゴの場合はまるで血液のような赤色の液体ですが、
ハトはやや黄色みがかっているそうです。
野毛山動物園はフラミンゴでの繁殖に取り組んでいませんが、時々ミルクを吐き出す個体がいました。
以下、血痕のようなミルクが写りますので苦手な方はご注意ください。
錆びのような赤い点々がミルクの跡です。
ミルクを吐いていた個体は、質問者さんのおっしゃるように、頭から段々と色褪せていました。
(画像中央色、色白の個体)
(ミルクを吐いた直後の個体、動画から切り抜いたため画像が荒いです。すみません。)
この個体は、壁のふちに嘴を当ててミルクを吐いていたため、壁に板を当てたところミルクを吐かなくなり、色も徐々に元に戻りました。
(右下個体、色の戻ったミルクを吐いていた個体)
ところで、鳥の羽の色は「色素」だけで色がついているわけではありません。
羽の細かな「構造」に光が反射することにより、色が見えることがあります。
よく使われるたとえは、海やシャボン玉です。
海水を掬うと色はありませんが、海は青く見えますよね。光の反射によって、目に見える色が変化します。
鳥の羽は、「色素」によって色がつく場合と羽の細かな「構造」によって色が見える場合、「色素と構造が混在」した場合があります。
先ほどのミルクを吐いた個体や親になったフラミンゴは、ミルクに含まれる赤い「色素」を吐いてしまったことで色褪せてきたと考えられます。
次に「フラミンゴペレットを他の水鳥が食べるとだんだんほんのりピンクになったり、
青の色素を含む食事でうっすらブルーのフラミンゴになったりするのでしょうか?」
モモイロペリカンなど一部の種では、フラミンゴペレットを給餌すると餌に含まれる「色素」によりほんのりピンクになることがあります。
また以前野毛山動物園で飼育していたショウジョウトキには、赤い色素を含むオキアミを給餌していました。
(バードケージで飼育していたショウジョウトキ)
フラミンゴは餌に含まれる色素が羽に関わる脂肪と結合することで色づきます。
ただ、何色でも結合するわけではなく、結合する色素を選択しているため、
青い色素を与えても青くはならないと思われます。
ご質問いただいたおかげで、改めていろいろと調べることができました。
楽しい機会をいただきありがとうございました。
フラミンゴをはじめ、また園内の動物に会いに来てくださいね。
ダチョウ・フラミンゴ担当者