更新日:2022.06.14フクロウの鳴き声といえば?
フクロウの鳴き声といえば?
動物園では、鳥の鳴き声のお問い合わせを頂くことが時々あります。
その中でも、何度か頂いているのが「私が聞いた鳥の声はフクロウですか?」というお問い合わせです。
今回はフクロウなどの鳴き声について考えてみます。
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野毛山動物園ではフクロウを展示しています。
▲野毛山動物園のフクハ(♀) 光の加減で悪そうな顔に写ってしまいました ▶クリックすると大きな画像が開きます
さて、フクロウというとどんな鳴き声を思い浮かべますか?
......はい。よくみなさんがおっしゃるのは「ホーホー」です。フクロウといえばホーホー。ほうほう。
しかし、上のフクハのような「フクロウ」という種(しゅ)は「ホーホー」とは鳴かないのです。
「フクロウ」は主にオスが鳴きます。比較的有名なのは「ゴロスケホッホー」と聞こえるという鳴き方です。
実際はひと鳴きの中にちょっと間(ま)を置く鳴き方で「ホホ.........ホホッホホッホー」という声です。
この後半部分が「ゴロスケホッホー」に聞こえると言われます。
(一般的にそんな鳴き声ですが、鳴き方には個性があって、みんな一様ではありません。)
他に、「ホホホホホホホホ......」(低めの声から始まってぐっと高くなってからだんだん低くなる)
という鳴き方もします。
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では、「ホーホー」の声の主はどんな鳥でしょう?
(1)キジバト(ハトのなかま)
たまにあるのが、キジバトのオスの鳴き声の一部が「ホーホー」に聞こえてしまっているパターンです。
キジバトのオスは春頃に鳴いていることが多いのですが、「デーデーッポッポー」
(私にはボーボウワッパッパーに聞こえます)を繰り返し何度か歌います。
「デーデーッ」と「ポッポー」で音の高さが変わるのですが、周囲がにぎやかだったりして後半がよく聞こえず
前半だけ聞いて「ホーホー......ホーホー......」と聞こえている場合があるようです。
(野毛山動物園で普通に見かける野鳥です)
▲ドバトより少し小さめのキジバト(ひなたぼっこ中)
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(2)ミゾゴイ(サギのなかま)
ミゾゴイはなかなか姿を見ない鳥ですが、初夏の頃に山の手の公園の林などで繁殖しており、
季節によっては案外人里近くにいる鳥です。野毛山動物園でも展示していますし、
時季になると野毛山動物園や野毛山公園の辺りで野生のミゾゴイの声が聞こえることもあります。
この鳥は繁殖期である春から初夏に日本列島の辺りにやってきますが、
オスがテリトリーをアピールするために暗い時間に鳴きます。
その鳴き声は比較的低めの声で「ホー、ホー、ホー、ホー......」と2回ずつではなく
同じ間隔でゆっくり鳴き続けます。
かなり「俗に言われるフクロウのホーホー」っぽい鳴き声ですが、2回セットではなく、
鳴いているのもサギの仲間でフクロウの仲間ではありません。
▲野毛山動物園のミゾゴイ「ミゾタロウ」が夕方の餌の時間の訴え(ホーという鳴き声とは異なります)
▲野生のミゾゴイの声に続き野毛山動物園のミゾゴイ「ミゾタロウ」も鳴きます。
(左のマイクの調子が悪いので主に右から聞こえます) ▶クリックすると動画(ほぼ音のみ)をご覧いただけます
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(3)アオバズク(フクロウのなかま)
こちらはフクロウの仲間でホーホーと鳴く鳥です。フクロウよりも小さく、ハトくらいの大きさです。
声はフクロウのイメージよりもやや甲高く、オカリナを吹いているような音です。
鳴き始めが少し低い声で鳴きながら少し声が高くなり、
その後は一定の高さで鳴き続けます。「ホーホー、ホーホー、ホーホー......」と鳴き続けますが、
これも個性があって、間隔が縮まって「ホーホーホーホーホーホー......」と間断なく
ずっと鳴き続けているように聞こえることもあります。
「フクロウ」は一年中だいたい同じところに住んでいますが、アオバズクは冬は南で過ごし、
夏は涼しいところに移動する鳥で、初夏の頃に繁殖します。
その名のとおり、青葉の頃にやってきて暗くなってからホーホーと鳴くフクロウのなかまです。
▲以前、ケガをして保護されたアオバズク
▲見えにくいのですが夕暮れ時の木の上のアオバズクです(矢印)
▲暗くなってきてから鳴くのできれいに撮影できませんが、こんな感じで鳴いています。(矢印の位置)
▲シルエットですが、熱心に鳴いています。(矢印の位置)背後で鳴いているのはフンボルトペンギンです。
動物園が開園している時間には鳴いていませんが、日の入りの後、
少し暗くなってくると動物園の周りや隣の野毛山公園でアオバズクの声が聞こえると思います。
星空観察のように夜の鳥の声を聞きに出かけてみるのも面白いと思いますよ。
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[桐]