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アサヒの知らない君は誰?の写真

更新日:2022.06.13アサヒの知らない君は誰?

更新日:2022.06.13

アサヒの知らない君は誰?

初旬のGWが終わったと思ったら、中旬は梅雨の走りのような雨続き、

下旬には『本当に5月なの?』ってくらい暑い日があった今年の5月。

五月晴れ(本来は梅雨時の貴重な晴れ間のことを表現する言葉らしい)が少なかったせいか、

どんよりした気分のまま過ごしていましたが、気付けば紫陽花の蕾は膨らんでいました。

園内のアジサイの蕾.jpg

動物や植物たちは、いつも季節の変化を教えてくれ、私の心の軌道修正をお手伝いしてくれます。

繁殖期を迎えたニホンキジの雄と雌.jpg

いつも、ありがとうございます。

もう6月ということは、ミナミコアリクイのアンが野毛山動物園に入園して2か月が過ぎました。

ミナミコアリクイの雌のアンが寝台でねているところ.jpg

このところ、アンの近況報告ブログの更新が滞ってしまっていて、すみません。

前回は動物病院での自主検疫中のお話しでしたが、実はその間にこっそり雄のアサヒと会わせていたんです!

というと、だいぶ語弊がありますが、2頭は互いの『匂い』だけ、先に出会っていたのです。

元々、ミナミコアリクイはとても嗅覚の優れた動物です。

見慣れないものは、まず匂いで確認。

ミナミコアリクイ雄のアサヒがにおもちゃの匂いを嗅いでいる.jpg

生活の中では、かなりの割合で嗅覚に頼った暮らしをしているのであれば、

いきなり獣舎でご対面よりは『この匂いはあなたでしたか!』の方が2頭も少しは安心するのでは?

と飼育担当者なりに考えた策。

それが名付けて『僕の知らない君は誰?』作戦。とある曲の素敵な歌詞からインスパイアされたこの作戦。

上手くいくといいなぁ。

ミナミコアリクイのアサヒが寝床で起きたところ.jpg

その方法とは、いつも2頭が寝る時に使っている麻袋やブランケット、遊び道具などを物々交換して、

互いの匂いを嗅がせてみるというやり方です。

まずは雄のアサヒの反応。

ミナミコアリクイのアサヒが敷物の匂いをかいでいる.jpg

「こっっ、この匂いは? まさかコアリクイ?」

人工哺育で育ったアサヒはこれまでのほとんどを1頭で生活していたので、他のコアリクイを知らないはず。

でも想像していたよりも反応は上々で、飼育担当者は良い意味で裏切られました。

ミナミコアリクイの雄のアサヒが毛布の匂い嗅いでいる.jpg

少し興奮した様子でアサヒはずっと匂いを嗅ぎ続けていました。

不思議なことに、この日ぐらいから、いつもマイペースなアサヒの活動量が増えていきました。

伊豆シャボテン動物公園の飼育担当者さんからも「アサヒくんもきっとアンさんが来たら、

活動的になりますよ!」って言ってくださったのを思い出し、今は日々のアサヒを観察しているところです。

代わって、雌のアン。

アンは伊豆シャボテン動物公園で大家族の中で育ったコアリクイ。

他のコアリクイの匂いを知っているから、きっとアサヒよりも落ち着いた反応だろうと想像していました。

しかし・・・

ミナミコアリクイの雌のアンが毛布の匂いを嗅いでいる.jpg

「これ、誰よ!こんな匂いのコアリクイ知らない。誰だれダレ?」

と軽いパニックになってしまいました。

ミナミコアリクイの雌のアンが警戒して立ち上がってるところ.jpg

これは飼育担当者にとっては想定外の反応。

「アンちゃん、いきなりビックリさせていまって、ごめんなさい。」

でも、ミナミコアリクイの獣舎で初対面した時にパニックになってしまうよりも良いのではと思い、

獣舎へ移動する日まで少しずつ『匂い交換』を繰り返し、互いの存在を認知してもらえるよう試みました。

ミナミコアリクイの雌のアンが敷物の匂いを嗅いでいるところ.jpg

最初は動揺した様子だったアンも日に日にアサヒの匂いを嗅いでも

「ハイハイハイ」みたいな当たり前の反応に変化していったのです。

そして、自主検疫を終えて迎えた獣舎移動の日。

飼育員2名でミナミコアリクイの雌のアンを移動させる様子(動物病院).jpg

果たして2頭の初対面はどんな風だったでしょうか?

ドキドキのご対面の様子は次回ご報告いたします。

 

飼育展示係 大谷