更新日:2022.09.26動物園のチンパンジーにも文化?
動物園のチンパンジーにも文化?
近年、アフリカ各地の野生チンパンジーの集団では、
道具使用や社会行動など多くの行動パターンで集団間に違いがある事が分かり、
チンパンジー社会にも人間社会と同様に「文化」があると言われるようになりました。
少し前に、同じ横浜市内にあるズーラシアのチンパンジー達に会いに行ったのですが、
ズーラシアのチンパンジー達は夜眠る時、コーヒー豆の入っていた麻袋や使用済みの
消防ホースで作ったハンモックで眠るという話を、ズーラシアの担当者から聞きました。
野毛山動物園でも同様に、寝室にハンモックを吊るしてあるのですが、
当園のチンパンジー達はハンモックで眠りにつく事はまずありません。
当園の4頭は、寝具として入れてある乾草を使って、
寝台や床など思い思いの場所に自分でベッドを作り眠りにつきます。
ちなみにこちらが、翌朝撮影した使い終わったベット。
鳥の巣のような綺麗な形をしています☆
また夏の暑い時などは、ベッドを作らずコンクリートの上で直に眠ることもあります。
ハンモックも風通しがよく寝心地も良いと思うのですが、ハンモックで眠る事はありません。
また麻袋の使い方にも、ズーラシアのチンパンジーとは違いがあるようです。
麻袋のハンモックを吊るすと一回は中に入ってみるのですが・・・
すぐにハンモックを壊して、麻袋の中に入ってみたり、
体の下に敷いてみたり、しまいにはビリビリに破いたりと、
「麻袋=遊び道具又は床に敷く物」と認識しているようです。
よって麻袋ハンモックはその機能を発揮できず、
当園のハンモックは全て使用済みの消防ホースで作っています。
野毛山動物園とズーラシア、同じ横浜市内の動物園なのに、
そこで暮らすチンパンジー達の行動や道具使用には違いがあります。
それぞれ異なる行動レパートリーが伝統として集団内に受け継がれていくという点で、
野生のチンパンジーと同様、動物園のチンパンジーにも、「文化」があるのかもしれません。
(チンパンジー係3年生 伊原)