更新日:2018.11.02小声のタヌキ
小声のタヌキ
野毛山動物園に保護されてくるタヌキの殆どは、「疥癬」という皮膚の病気に感染してやってきます。
疥癬についてはこちらのブログもご参照ください;
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/nogeyama/details/topic90.php
疥癬治療後のタヌキ 病気が治っても毛が生えるまではこんな感じです パンク魂を感じます
なので、毛並みのきれいなタヌキが持ち込まれるケースは少ないのですが、最近こんなタヌキが保護されてきました。
なんとも悩ましいポーズです
めったにお目にかかれないこの毛並みの美しいタヌキ、なぜ保護されたかというと、直径10cmくらいの穴に頭を突っ込んでしまい、そのまま抜けなくなってしまったそうです。
助けてもらったものの、そのままその場を動かなかったそうで、保護された方が心配して野毛山動物園に持ち込んでくださいました。
診察してみましたが、特に異常はありませんでした。ただ一点を除いては・・・
このタヌキ、なんだかとてもしおらしいのです。
普通の野生のタヌキの怒り方は
「う゛ぅ゛~がが! う゛ぅ゛~ががが!ガウガウガウ!!」
こんな感じで怒るのですが、
このタヌキは
「ぅ゛~」
こんな感じです。超小声です。伝わるでしょうか。伝わるといいのですが。
特に異常なく、元気に餌も食べたので、早く野生に帰ってもらうことにしました。
宿賃代わりに研究の為の血と毛と糞を置いて行ってもらいます。血を取っている間も遠くを見つめておとなしくしています。
何故こんなにおとなしいのでしょうか?この個体のもともとの性格なのでしょうか?
その理由は知る由もありませんが、もしかしたら人から餌をもらっていて、慣れてしまったのかもしれません。
野生動物に餌付けをすることは様々な問題を引き起こします。農作物への被害、感染症などなど...
野生動物とは適切な距離をとって付き合っていきたいものです。